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冬晴れの有明海に ぬくもりを感じて 荒 尾

江戸時代末期に築造された山崎橋。北山崎地区の方々が清掃など橋の手入れを行っています


水と空気が織り成す眺めが 夢幻へと思いを誘う

北山崎の「内野堤」。季節ごとの水位の上下により、池の中にまつられた弁天さまの見え方も変わります
 
北山崎地区の権現様として親しまれる「熊野座神社」。その昔、このあたりにはやった疫病が治まったのを契機に建立されたと伝わります


右手に見える白壁の「守山商店」あたりが、北山崎地区のにぎわいの中心でした
 
山崎橋そばの大樹の根元にはかわいいお地蔵さまが鎮座。色とりどりの供花の色が、緑の光景の中で鮮やかです


 大きく伸ばした腕(かいな)のようにゆるく弧を描く堤に抱かれた大きな池。その碧玉(へきぎょく)のように深い緑の水面に、つい今しがた止んだばかりの春雨が、一面の白い霧となって名残惜しげにとどまっています。
 朝早く訪れた北山崎地区(宇城市豊野町)の「内野堤(うちののつつみ)」は、そんな幻想的な光景に包まれていました。
 池を遠巻きに囲んで黒々と茂る杉木立の間からは、新たな霧の一群が湧き出し、池の中ほどに鎮座する弁天様の祠(ほこら)を白くかすませます。
 その光景は、まるで今覚めたばかりの夢のように、現(うつつ)とも幻ともつかない幽玄な雰囲気です。
 昔から地形的に農業用水の確保に苦労した豊野には、かんがい用に作られた大小のため池が点在していますが、「内野堤」もその一つ。
 その美しい光景が昔と変わらず保たれているのは、北山崎地区のみなさんの労苦の賜(たまもの)なのです。
 「みなで手分けして行う堤の草刈りを、昔から欠かすことはありませんでした」と話すのは、同区区長の前村輝也さん(69)。
 長々と続く堤の斜面に沿って延々と行う草刈りは、想像するだけでも大変な作業ですが、それが今日まで絶えることなく続いています。人々の“弁天さま”を大切にする気持ちや先祖伝来の土地への愛情の深さがよく分かります。
 毎年1月、この池のほとりに北山崎の人々が集う「弁天まつり」は、皆が心待ちにしている地区の一大行事です。
 ですが、それについては「一つ注意せんとならんことがあっとです」と前村さん。「弁天さんは、おなご(女)の神様だけん、夫婦で仲良くお参りすっとヤキモチば焼かすと(笑)」。
 というわけで、弁天さんの手前、祭の当日だけは、夫婦仲睦まじい様子を見せるのは控えた方が良さそうです。


>> 2 石橋の里に漂う懐かしさ 今も残るにぎわいの記憶
※各情報は掲載時のものです。料金や内容が変わっている場合もあります。
  あれんじ気まま旅
Vol.95(2014.3.1)掲載
緑豊かな山々に抱かれた豊野町(宇城市)。郷愁を誘う里山を歩けば、江戸時代末期に架けられた風趣ある石橋が大らかな自然に溶け込むようにたたずみます。その大地から生まれるのは、豊かな穀物や緑濃い野菜たち。そんな恵みあふれる早春の豊野を一日ゆっくり訪ね歩いてみました。

文=松田有美 写真=森賢一(グラフ) 表紙=霧が立ち込める内野堤(うちののつつみ)



豊かな里山に 春の予感を探して 豊野
水と空気が織り成す眺めが 夢幻へと思いを誘う
石橋の里に漂う懐かしさ 今も残るにぎわいの記憶
雨乞いが起源の宮川虎舞 ぜいたくな〝平飼い〟の新鮮卵
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