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冬晴れの有明海に ぬくもりを感じて 荒 尾

作業員が立て坑を昇降する際のケージを巻き上げる巨大な巻き揚げ機とワイヤー


世界遺産めざす万田坑で 産業の歴史を見て触れて

ひと頃までは赤茶色のさびに覆われていた立て坑やぐらは2010年の補修工事でさびが落とされ、往時を思わせる銀白色によみがえりました
 
採掘した石炭を運ぶ「炭函」や「台車」が当時のままの姿で残っています


 

↑陽光が照らす壁面には、アジアンタムがいきいきと葉を茂らせていました

←あせたペンキの色や、歳月を重ねたれんがが歳月を感じさせます



資料館「万田坑ステーション」では、年表や制服、万田坑が全盛期だった昭和14年頃の全体像を示すジオラマや写真などを見ることができます
 
館内のショップには石炭にまつわる土産物のほか、小代焼なども。荒尾名物として知られる「ふくやまベーカリー」のメロンパンなども販売されています


 ひんやりとした風に、思わず肩をすくめる朝。道端では色とりどりの木の葉がどこからともなく吹き集められ、カサカサクルクルッと舞い踊っています。
 熊本と福岡の県境にある荒尾市。こんもりとした万田山の傍らには「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」の一部として、平成27年度の世界文化遺産登録を目指す旧三井三池炭鉱の「万田坑跡」(同市原万田)があります。
 この一帯が人々の熱気であふれていたのは、石炭が産業を動かす主力エネルギーで、「黒いダイヤ」と呼ばれた時代。荒尾・大牟田地域には、日本を代表する巨大な三池炭鉱がありました。万田坑はその主力の坑口でした。ここには当時の施設や設備がそのままの姿で残されていて、石炭や産業の歴史について肌で感じながら学ぶことができます。石炭を運び出していた「炭函(たんがん)」や専用のレールはさびで赤茶け、すすにまみれたれんがやコンクリート壁に張り付いたツタが、時間の経過を感じさせます。
 万田坑のシンボル的な存在が、18・9mもの高さの第二立て坑やぐらです。
 立て坑とは垂直に掘った穴で、作業員は、ここからケージと呼ばれる鉄製の箱に乗り、地下264mの坑底へ昇り降りしていたのです。「坑道は有明海の下まで広がっていた」との説明を聞くと、びっくりすると同時に、ちょっとロマンを感じました。傍らに備えられた信号所には、坑道にいる作業員らと連絡を取り合うための信号や、その打ち方を記したボードもありました。
 構内でちょっと珍しいものを見つけました。メタセコイアの木と石炭のかたまりが並べて展示してあります。「この木が地中で長い年月をかけて石炭になるんです。この町の街路樹にもなっていますよ」とガイドさんが教えてくれました。
 万田坑の歴史が分かるという敷地内の資料館「万田坑ステーション」へ向かいました。ここには、最盛期の万田坑を再現したジオラマや、当時の様子をうかがい知る資料などが展示されています。なかでも目に留まるのは、顔中すすで真っ黒になりながら働く男たちの写真です。日本の近代化と高度成長の陰には、こうして汗を流し続けた人々の努力や苦労があったのだと思うと、熱い思いが胸に迫ってきます。


問い合わせ

■万田坑&万田坑ステーション
荒尾市原万田200の2
TEL.0968(57)9155
荒尾市原万田200の2
見学時間/9時半~17時
※ただし、旧万田坑(有料区域)への最終入場は16時半まで
休館日/月曜
(祝日の場合は翌日休、12月29日~1月3日)
入場料/大人400円、高校生300円、
小中学生200円(いずれも団体割引有)
>> 2 炭鉱の町の新たなパワー
※各情報は掲載時のものです。料金や内容が変わっている場合もあります。
  あれんじ気まま旅
Vol.92(2014.1.18)掲載
淡く澄みわたる青空を見上げながら、ひとときの時間旅行へ。かつて炭鉱景気に沸いた荒尾市。日本の経済発展を支えた炭鉱は、歴史遺産として観光都市をめざす荒尾の人気スポットに。オリーブ栽培や自然を生かした特産品も登場しています。歴史と新しい魅力に触れてきました。

文=木下真弓 写真=森賢一(グラフ)
表紙=うららかな日差しの下、散歩する「みのり保育園」の子どもたち(荒尾市本井手)


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