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秋の訪れと 悠久の時を感じる 鹿央町

町をめぐれば、“日本の原風景”といった景色に数多く遭遇します


地域の人たちに守られる 平安・鎌倉期の仏像群

たそがれ時の風景。ちょっぴり郷愁を感じます
 
民家の庭先にはケイトウをはじめ小さな花がたくさん植えられています


江戸時代に建て直されたという康平寺の本堂。11月末になると、参道はイチョウの落ち葉で黄色いじゅうたんに
 
前列左より、森智重子さん(82)、清田由美子さん(62)、森仁美さん(67)、後列左より、森芳顕さん(66)、森健喜さん(67)


半眼で微笑む「千手観音像」。すべての手のひらに眼が描かれ、千手千眼観音とも言われています
 
一体一体の表情も個性豊かな二十八部衆。「写真は撮り放題ですよ」と森さんのありがたい言葉
博物館や大学からの調査も多いという「地蔵菩薩像」(平安時代前期)。口元がちょっぴり上がった表情に心がなごみます


外観もいい味を出している鹿央ストアー
 
懐かしのポスターがあるのも、レトロなスーパーならでは


お菓子コーナー、乾物コーナー、日用品…と、多彩な商品が整然と並ぶ店内。ちょっと買い忘れた時に頼りになるお店なんです
 
「俺ば撮るとかい」と照れていた店主の有働光政さん(76)。シャッターを押すと、ばっちりカメラ目線です


 日差しがおだやかになり、吹く風や高い空に秋を感じはじめてきました。ケイトウやコスモスが民家の庭先で彩りを添え、見上げると柿の木に小さな実を見つけました。
 どこまでも広がる田園、こんもりとした深緑の山なみ、ポツポツと点在する静かな集落。ここは、時間をさかのぼっていくような風景が続きます。
 霜野(しもの)地区に「康平寺(こうへいじ)」があります。その起源は古く、平安時代の康平元年(1058年)に建立されたと伝えられています。古い石段を上ると大きなイチョウの木が境内を見守るようにたたずんでいます。辺りの空気は澄んで、僧たちの修行の場であったことが、その気配に感じられます。
 「よく来られましたね」と霜野地区区長の森芳顕さん(66)が迎えてくれました。地域の有志35人で管理組合を作り、毎朝5人で清掃、来訪者の接待をしているそうです。
 丁寧に掃除された境内や本堂には、地域の人たちの思いが隅々に込められているのがよく分かります。
 本堂の奥の収蔵庫には、鎌倉時代に作られたという「千手観音像」がなんとも言えないやすらかな表情で立っています。
 圧巻は観音像の両脇に控える二十八部衆(にじゅうはちぶしゅう)です。帝釈天(たいしゃくてん)、阿修羅(あしゅら)、毘沙門天(びしゃもんてん)などが勢ぞろいするのは全国でも少ないそうです。
 ずらりと並ぶ二十八部衆に心を奪われますが、熊本では珍しい平安時代前期の地蔵菩薩(じぞうぼさつ)があるのも森さんたちの自慢です。
 ふっくらとやさしい顔立ち、流れるような衣、よく見ると年輪までも計算されているような素晴らしい一体です。こうした貴重な文化財を間近に見学できるというところが素晴らしいのです。
 「私が子どもの頃は暗くて、こわくて。叱られた時には『康平寺に閉じ込めるぞ!』って言われてましたよ(笑)。若い時は見向きもしませんでしたが、最近じゃ自然と手が合わされて…。みんなの心のより所です」と温かい目で観音像を見つめる森さん。そう思えば、観音像の表情がうれしそうに映ります。
 康平寺を後にして坂を下ると、途中に、レトロなテントの「鹿央ストアー」が目に留まりました。
 店の中に入ると、酒やお菓子、お総菜に果物、洗剤などの日用品まで、いろいろとそろっています。中には珍しいものが見つかるかも…という期待も起こるワンダーランドのような店内です。
 「もう40年ばかり商売しとる」とは店主の有働光政さん(76)。お年寄りの多い地域だから、注文を聞いて配達をすることも多いそうです。まだまだ現役の有働さんの元気さに、こちらも背筋がぴんと伸びてきます。


 

問い合わせ
■霜野康平寺
山鹿市鹿央町霜野地内
TEL.0968(36)4030
営/9時〜16時
休/月曜

■鹿央ストアー
山鹿市鹿央町合里5612の4
TEL.0968(36)2278
営/8時〜21時
休/なし

>> 2 幾何学文様から感じる古代人からのメッセージ
※各情報は掲載時のものです。料金や内容が変わっている場合もあります。
  あれんじ気まま旅
Vol.84(2013.9.21)掲載
国道3号から一歩入り込めば、時間をさかのぼったような風景が続く山鹿市鹿央町。のどかな田園地帯では、秋の実りの時を迎えています。また、町を歩けば、岩原台地に点在する古墳、鎌倉時代から受け継がれる仏像…人々の暮らしの中に深い歴史が刻まれていることを実感します。

文=廣木よしこ 写真=森賢一(グラフ) 
表紙=康平寺の千手観音像



秋の訪れと 悠久の時を感じる 鹿央町
地域の人たちに守られる 平安・鎌倉期の仏像群
幾何学文様から感じる 古代人からのメッセージ
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