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気取りのない優しさに 温かな人情通う 益城町


広安地区からの青田の眺め。 右手に望むのは飯田山(いいださん)、
左手には舟底がひっくり返ったような姿から呼ばれる、船野山(ふなのやま)が見えます


なんと豪快に神輿を放り投げ 12地区持ち回りのお法使祭

明治14(1881)年に建てられた津森神宮の楼門。二層建築の2階部分は、鐘楼(しょうろう)のような特徴ある構造
 
江戸時代初期に造営され、改築を繰り返された津森神宮の神殿

境内のムクノキには、アオバズク(フクロウの一種)が子育てにやって来るそうです


津森神宮・宮司の甲斐喜三男さん(右)と平田地区で祭りの世話役をする村上干城さん
 
「お法使祭」を紹介している冊子。1冊2000円。津森神宮で販売されています


ご神体を乗せて練り歩く神輿。神宮で行われる神事のときに氏子に渡されます
 
昭和30年頃のお法使祭。戦後10年経ち、担ぎ手の若者も少なくトラックもなかった時代、馬車で神輿がひかれています。神聖な神輿をひくために馬には白い布がかけられています(資料写真)


御神酒(おみき)をいただいた担ぎ手たちが、威勢よく神輿を投げています。畑は耕され、神輿が傷まないように配慮(平成17年の祭り、資料写真)
 
道中を祓い清めながら、子どもたちの楽の後に神輿が続きます(平成10年の祭り、資料写真)


 少しずつ空が高くなり、すじ雲が浮かぶ日もあります。そういえば、すだき鳴いていたセミの声も遠くなった気がします。
 津森地区の田畑の中に、まっすぐに伸びる一本道を見つけました。車一台ほどが通れる農道ですが、交通の激しい道のように精神的に消耗される感じがしない、郷愁を誘う穏やかな風景に、心が和んでいくのが分かります。
 ふと足元を見ると、あぜ道に咲いたつゆ草の葉の色が褪(あ)せ始めていました。夏の終わりを告げているようで、まだまだ暑さこそ厳しいけれど、思いは、つい秋へと向いてしまうのです。
 そして待ち遠しい秋が到来すれば、津森神宮では毎年、由緒ある祭りが行われます。津森神宮の氏子地域内(益城町・西原村・菊陽町)の12地区を1年ごとに巡幸していく「お法使(ほし)祭」がそうです。
 「お法使祭は、毎年祭りをする地区が変わる、運営場所や祭りのメンバーも変わる、そして神輿(みこし)を放り投げる、という全国的にも珍しい祭りで、昔から大切に継承されてきた3町村の無形文化財です」と話すのは、宮司の甲斐喜三男(きみお)さん(56)です。
 ご神体は、天宇受売命(あめのうずめのみこと)と猿田彦命(さるたひこのみこと)の夫婦神です。歌舞に優れ、勝ち気でにぎやかなことを好んだ芸能の神様とされています。ゆえか、祭りの華やかさや迫力の理由はそこにあるようです。
 12年に一度祭りが巡ってくる地区では、御仮屋と呼ばれる神様が休む場所にしめ縄を飾り、祓(はら)い清めて到着を待ちます。前地区からは、先頭がお祓いをしながら道を清め、子どもたちの笛太鼓の楽が進みます。その後に神輿、ジャンガラ踊りや女性たちの道踊りが続きます。昔も今も、神と一体となった神幸行列は、秋色の田園や家々の路地を練り歩きながら、次第に求心的な力を生んでいくのです。
 祭りの見どころは、神輿を受け渡し場所に運ぶ途中で、道や畑に投げ落とすシーン。観客は今か今かと息を飲んで待ち、かたや担ぎ手たちは、なかなか投げようとはせず、たっぷりとその瞬間までじらすそうです。こうした神輿を放り投げるという珍しい習わしは、神が降臨したときに地上に霧が立ちこめ、体が揺れ動いた様子を表現しているという説が伝えられています。ちなみに、神輿の壊れた部分はその地区で修理して渡します。
 「それぞれの地区では、楽の音色や演出も違うとです。12年に一度巡ってくるこの祭りは、小学生で参加した子どもが、次は青年に成長して神輿を担ぐこともあるわけです」と、平田地区の祭りの世話役である村上干城(かんじょう)さん(73)は言います。
 神輿に揺られて旅をする、お法使さん。なんだか、うらやましい愛され方です。今年も津森神宮で神事が行われた後、11月2日(土)に西原村河原地区から菊陽町戸次地区に遷宮(せんぐう)されます。

問い合わせ
■津森神宮
上益城郡益城町寺中708
TEL.096(286)2808
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※各情報は掲載時のものです。料金や内容が変わっている場合もあります。
  あれんじ気まま旅
Vol.83(2013.9.7)掲載
広がる青田の稲穂が風に揺れる田園の風景。その一方ではベッドタウンとして、便利なアクセスと住環境が整っている益城町。ほどよい暮らしのバランスを保つこの町で、日常のリズムに溶けながら、温かい出会いに触れてきました。

文=福永和子 写真=森賢一(グラフ) 
表紙=津森地区の県道28号沿いから眺めた風景



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