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清水湧く田園都市 嘉島町
六嘉湧水群・浮島の一角にある「浮島熊野座神社」。まるで湖面に浮いているようで「浮島さん」の愛称で、町のシンボルとなっています


水面に浮かぶ『浮島さん』 暮らしに密着する湧水群

「浮島熊野座神社」は夫婦神を祭り禊(みそぎ)の神様としても知られ、厄入り、厄晴れ、厄払いなどに多くの参拝者が訪ねます
 
「寺の下湧水」には、希少な生物が生息しています


「浮島熊野座神社」の41代目宮司・井王敏靖さん。神職のかたわら子どもたちに陶芸を教えています
 
宮司の井王敏靖さんは湧水を使った「浮島神社小代焼浮島窯」を開き、境内横のギャラリーに作品を展示しています


川は今でも生活用水として使われています
 
寺の下で暮らす左から山内修一さん(76)、岩野要子さん、永瀬奉文さん。水源は地元の人たちとボランティアの人たちで美しく保たれています


「佛誓寺」の内部にも極彩色の絵が残っており、「平成肥後国誌」によると1767年江戸時代の名工によって修復されたと書かれているそうです
 
漆喰の壁に鏝で描かれた珍しい鏝絵
 
江戸時代のころに村人が持ち寄った挽臼を敷石にしたと言われる珍しい「佛誓寺」。通称「挽臼寺(ひきうすでら)」とも呼ばれています


 嘉島町は、阿蘇の伏流水が町のあちこちから湧き出す恵まれた環境により、地下水だけを利用して暮らしています。
 豊かな水の郷だと印象深いのが「浮島熊野座神社」。春の陽光を受けて、まばゆいほど輝く美しい池の中に神社が浮かぶようにたたずんでいます。池の東側に位置する神社は、遠くに阿蘇の外輪山と飯田山を背にして、鎮守の森を水鏡に映し出し、幻想的な光景を見せています。まるで竜宮城のような浮島熊野座神社は、地元の人たちから「浮島さん」と呼ばれ親しまれています。
 周囲に広がる池は、約2.5ヘクタールの面積に日量13万トンもの水が湧き出します。「千年以上も昔のことです。領主であった井王三郎直久が神のお告げで地面を掘ったら、ため池ができ、おかげで一帯に水田が広がったそうです。神に感謝を捧げるため、1001年にこの神社が創建されました」と話すのは41代目宮司の井王敏靖さん(74)。千年の歳月を経た今もとうとうと水をたたえ、田畑を潤しています。「不思議なことにどんなに周りが洪水になっても、神社は一度も水に浸かったことがないんですよ」と宮司の言葉に、神秘さを感じずにはいられません。
 嘉島町の六嘉地区には13カ所の湧水地が点在し、その一つが矢形川にある「寺の下湧水」。水は美しく透き通り、水草の鮮やかな緑が流れに添うように揺れています。ちょうど、誰かが川でハクサイを洗っていました。「今は少なくなったけど、50年ばかし前まではみんなこの川で炊事ばしよったけん、場所取りが大変だったとよ」と話してくれたのは、川の近隣でよろず屋を営む岩野要子さん(80)。かつての川辺は、朝早くからそれはにぎやかだったそうです。「ここは希少な淡水魚のオヤニラミやメダカなども生息してるんです」と下六嘉区長の永瀬奉文さん(70)が話してくれました。川の恵みを受けて暮らしてきた人たちにとって大切な水場であり、各家庭に水道が引かれた今でも、川を愛する思いは変わらないようです。
 「寺の下湧水」と名がつくように、高台には「佛誓寺(ぶっせいじ)」があります。古い石段を上ると挽臼(ひきうす)を敷石とした参道が続きます。 本堂正面の軒下には朱色や黒を使い竜やボタン、ウサギが立体的に描かれた珍しい意匠が見えてきます。「これは鏝(こて)絵と呼ばれるものです。歴史は分かりませんが、専門家の方から大変貴重なものだと聞き、大切に守っています」と話してくれたのは、住職の亀山誠哉さん(65)。日本最古の鏝絵かもしれないとも言われており、全国から専門家の見学者も多く、今後の調査が待たれます。


問い合わせ
■浮島熊野座神社
上益城郡嘉島町井寺2827
TEL.096(237)1437

■佛誓寺
上益城郡嘉島町下六嘉3583
TEL.096(237)0353
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  あれんじ気まま旅
Vol.71(2013.3.2)掲載
矢形川、御船川、加勢川など緑川水系の河川に囲まれた上益城郡嘉島町。町中のあちこちで水が湧き出し、清らかな水は人々の暮らしに密着しています。のどかな田園と新興住宅、企業や商業施設が隣り合う田園都市、嘉島町で、一足早い春の風を感じてきました。

文=北園佳代 写真=森賢一(グラフ) 
表紙=六嘉湧水群の一つ「寺の下湧水」



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