生活情報紙「あれんじ」公式サイト

トップ最新号とバックナンバー読者プレゼント
日だまりのぬくもり 富合町泉

青銅色の庇(ひさし)が印象的な木原不動尊


地域総出で支える社の祭礼 春を呼ぶ“火”の荒行

社殿の背後には、六殿宮の創建にあたった平重盛が祭られています
 
流鏑馬の舞台となる六殿宮社殿そばの一本道

「2012年の流鏑馬は、馬もよく走り、的にもよく当たって盛り上がりました」と話す『六殿宮』宮司の榊田進さん


社殿を周回する形で行われる『六殿宮』の馬追い。カーブや高低差があるため、時には怪我も覚悟の難コースです=資料写真
 
2012年の例大祭の流鏑馬の様子。並べる的の数をはじめ、昔からのしきたりに従って行われます=資料写真


「六殿大明神」の文字を囲むのは、ハート型の模様!? 実はこれ、神仏の世界では“猪眼(いがん)”という昔からの文様の一つでした。額の左右に並ぶお面の表情が、どこかユーモラスです
 
平安時代末期、九州に流された源為朝にまつわる伝承を描いた天井画(六殿宮)。木原城を居城とした為朝が、その強弓で山上を飛ぶ雁を片っ端から射落としたため、ついには雁がこの山を避けて飛ぶようになったとか。これが雁回山の名の由来といいます
 
田園の中に鎮座するかのような雁回山


奥に祭られたご本尊である不動明王は、目黒不動尊(東京都)や成田不動尊(千葉県)とともに、日本三大不動尊と並び称されています
 
静岡の仏師が腕をふるい、2012年6月に修理を終えた木原不動尊の仁王像


寺の歴史や火渡りの詳細などを説明してくださった、木原不動尊住職の角本尚雄さん
 
火渡りの様子=資料写真


 冬本番を迎え、一陣の寒風が富合町(熊本市南区)の田園を見おろす雁回山(木原山)の一角に建つ『六殿宮(ろくでんぐう)』に吹きつけます。冬枯れの木立が白い小道の両側に延々200mも連なり、まるでトンネルをかたどるように立ち並びます。今は静まり返っていますが、秋の祭の際には、ここは信じられないほどの人波と熱気で沸きかえっていました。それが、『六殿宮』敷地内で昨年10月9日に行われた例大祭での流鏑馬(やぶさめ)。併せて、神楽と馬追い神事も行われました。
 「流鏑馬の様子です」と宮司の榊田進さん(54)に手渡された写真には、馬上で頬をうっすらと紅潮させた少年の姿が。射手を務めた少年は、17歳といいます。現在各地の流鏑馬では、流鏑馬を専業とする愛好家などを射手に招くことが主流ですが、六殿宮では、流鏑馬を含めた全ての神事をはるか昔から地元の18地区が輪番で担ってきました。地域の人たちによる手づくりの祭りです。
 神社の正面に建つのは、室町時代の建立と伝わる楼門。釘を一本も使っていないことから、通称”くぎなし門“と呼ばれています。鮮やかな丹塗(にぬ)りの門と周囲の濃い緑のコントラストの、美しいこと。朝日を受けると、その輝きが一段と増します。
 実りの秋に感謝するのが六殿宮のご祭礼なら、命芽吹く春の先駆けとなるのが、日本三大不動尊の一つ、『木原不動尊』(雁回山長寿寺)の春季大祭(2月28日)。「火渡り」「湯立て」の荒行で知られています。「火渡りは、護摩木(ごまぎ)を焚いた残り火の上を渡ることで霊験あらたかなお不動さんと一体になり、かつ神聖な灰で心身をまっさらに浄化するという意味があるんですよ」と教えてくれたのは、住職の角本尚雄(かくもと・しょうゆう)さん(61)。「火渡りの際、足元に着く灰から、お不動さんの力と、お不動さんがもたらす安心をいただいて下さい」と優しく話してくれました。


問い合わせ
■木原不動尊(雁回山長寿寺)
熊本市南区富合町木原2040
TEL.096(357)4515

■雁回山木原本宮 六殿宮
熊本市南区富合町木原2378
TEL.096(357)4127
>> 2 名家に積もる静かなとき その当主が持つ華麗な記録
※各情報は掲載時のものです。料金や内容が変わっている場合もあります。
  あれんじ気まま旅
Vol.68(2013.1.19)掲載
豊かな川の流れや広々とした田園風景に心なごむ富合町(熊本市南区)。国道3号に沿うようにJR九州新幹線の高架が南北に貫き、その車両基地は町の新しいランドマークです。静かな雁回山(がんかいざん)は散策に絶好の場所。そんな冬の富合町で日だまりのようなあたたかさに出合いました。

文=松田有美 写真=森賢一(グラフ)
表紙=国宝の六殿宮の楼門前にて



日だまりのぬくもり 富合町泉
地域総出で支える社の祭礼 春を呼ぶ“火”の荒行
名家に積もる静かなとき その当主が持つ華麗な記録
“川が道、船が車”の時代 にぎわいは川とともにあった
うまいものの陰にある温かな人情や田園風景

くまにちコム


このページのトップに戻る↑



掲載の記事、写真の無断複製・転載を禁じます
Copyright Kumamoto Nichinichi Shimbun