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あったか湯けむりに寒さも忘れる 小国町 わいた温泉

集落を見下ろす山肌には、地域の人たちが昔から使う地獄ガマや乾燥室が点在しています


モウモウと立ちこめる湯けむりの中に垣間見る 湯の里の暮らしぶり

収穫を終えた田畑は、静かに安らいでいるかのようです
 
地域の人たちが協力して建てた「地熱発電所」。全体の姿は蒸気のベールに包まれていました

湯けむりと朝もやに包まれて、道の先も真っ白な小国町岳の湯。道脇には「蒸気に注意」の看板も


取材中に偶然出会ったばかりなのに親切に案内してくれた秋吉三男さん
 
蒸気に包まれた小屋は、秋吉さんの乾燥室
 
外の寒さがうそのようにあったかい乾燥室の中では、唐辛子を乾燥中。色鮮やかです


 落葉したくぬぎの森や収穫を終えた棚田…、冬枯れの風景を見ながらたどり着いたのは「わいた温泉」の一つ、小国町西里の岳の湯温泉。山間の小さな湯の里には、あちらこちらから温泉の湯気が上がっています。特に早朝に訪れると、朝もやなのか湯けむりなのか、山のくぼみにある集落は真っ白な世界にすっぽりと包まれます。
 路地を歩くと、家々の入り口から、石垣の間から、畑の脇、川…いたるところから白い蒸気がシューシューと吹き出ています。体がコチッと縮こまるほどの寒さですが、蒸気にあたると凍ったからだが溶けていくようです。
 「今日は寒かけん、特別よう湯けむりが上がっとる」と、秋吉三男さん(64)。早朝のイノシシ刈りから帰ってきたばかりといいます。秋吉さんに湯の里での暮らしぶりを聞いてみると、「蒸気を避けるように家を建てなんいかんし、イオウと蒸気で家電はダメになるけど、地熱で暖房もできてよかよ。乾燥室もあるし。今シイタケば干しとるけん見るね?」。 乾燥室? と興味津々について行くと、小さな小屋の中は地熱でポカポカと暖かです。中には網棚が設けてあり、シイタケや大根、唐辛子などがきれいに並んでいます。
 集落共同の乾燥室と思いきや、一軒ごとに乾燥室と、温泉蒸気で料理する地獄ガマを備えているとか。「何も干すものがない時は洗濯物ば干しよるけん(笑)」。よく見れば小屋の隅っこに物干し竿とハンガーが置いてあります。はげの湯、山川、鈴ヶ谷、地獄谷、麻生釣など、「わいた温泉」には人気の温泉地が点在していますが、温泉の地熱エネルギーが地元の生活に根付いた様子をうかがえるのは、ここ岳の湯だけかもしれません。
 昔ながらの温泉エネルギーの活かし方に加え、環境にもやさしい小規模地熱発電への取り組みが始まっています。 地熱発電所と言えば大分・九重町の八丁原を思い出しますが、岳の湯の地熱発電所は民家が並ぶ中にあり、こぢんまりしています。
 取材後に調べてみると、発電所はこの地域に住む人たちが出資して設立。住民が事業主となるのは全国初の試みで、発電量もこの集落付近がまかなえるのだそうです。
 温泉の恵みを大切に守りたいという、地元で暮らす人ならではの思いを、このエネルギー開発から感じました。


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※各情報は掲載時のものです。料金や内容が変わっている場合もあります。
  あれんじ気まま旅
Vol.67(2013.1.12)掲載
昔ながらの素朴な湯治場の風情を残す阿蘇郡小国町の「わいた温泉」。「岳の湯」「はげの湯」「鈴ヶ谷」「地獄谷」「麻生釣(あそづる)」「山川」の六つの温泉地からなります。澄み切った青空に向かって立ち上る湯けむりの向こうには、温泉のようにあたたかな人々の笑顔と、温泉の恵みを活かした暮らしがありました。

文=廣木よしこ 写真=森賢一(グラフ)
表紙=わいた温泉郷の岳の湯の集落の風景



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