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海と空のはざまで深まる秋を感じて 天草西海岸

山と入り江が複雑に入り組んだリアス式海岸をなす羊角湾

旧道にたどる 羊角湾の陰影 海際にたたずむ 尖塔を目指して

津天主堂。明治以来3回の建て直しが行われた。現在建つのは、昭和9年、長崎の建築家・鉄川与助が施工したゴシック風の建物
 
こぢんまりとした中に温もりを感じる津の町。商店が連なる街路の突き当たりに、青い海が顔をのぞかせます

小高浜海水浴場そばの旧道のかたわらで見かけた船の木組み。今は使われなくなった昔の木型でしょうか


さんが愛情こめて作る干物は、1袋500円前後
 
「ヒジキは、干してから3年ぐらいたったとがうまかよ〜」と浦フジ子さん(68)


おいしい干物に囲まれる、恵まれた環境で暮らす浦さんの愛猫
 
舞台セットのように奥行きが極端に短い『崎津・いかり』は、今年4月にオープンした持ち帰り寿司の店。区画整理のために、元は大きかった建物が削られてこの形になったそう。地ダコを炊き込んだ“タコいなり”が名物です


 移ろいやすい秋の空の下、刻々と違う表情を見せる天草灘。河浦町(天草市河浦町)中心部を走る国道398号線から、海の表情をより間近に見たくて、旧道を選んで津(同町)に向かいました。
 津トンネル手前から南に分岐する旧道に入ると、“鼻(はな)”と呼ばれる岬の突端と、ぐっと深く切り込まれた湾が交互に続く羊角湾の景色が広がります。その男性的な景観がもたらす力強い海の表情には、飽きることがありません。旧道がかもしだす旅情に、車で走り過ぎるのが惜しくなり、車を止めて津の湾を望む道に沿って少し歩いてみました。
 秋の日がかげり、鈍色(にびいろ)に変わる海。その海に浮くように姿を見せるのが、津天主堂で知られる津の町です。教会の尖塔の下に寄り添うように重なるのは、小さな家々の屋根。親鳥の懐にひなが寄り添うようなその光景は、長く続いたこの地のキリシタン信仰の歴史と重なります。
 教会の近くに、乾物を商う小さな店がありました。縁台を思わせる素朴な店先に並ぶのは、ヨメゴチやアンコウ。
 「津で獲れた魚を、私が一つひとつ天日で干しとります。10月からは底引き網漁が始まるけん、エイやエソもあがって、まっでうまかですよ〜!」と店主の浦フジ子さん(68)。故郷の町でかわいい猫とともに暮らす浦さんの表情は凪(な)いだ湾のように穏やかで、豊かな海に暮らす安息感に満ちていました。
 浦さんの店の隣にあったのは、天草天日塩“ロザリオ塩”の生産者直売所。手にとってなめてみると、たっぷりと含まれた津の海のミネラルが、甘く舌に溶けていきました。



問い合わせ
■浦さんの店
天草市河浦町津535 
TEL.0969(79)0703
営/9時〜16時
休/不定

■ロザリオ塩
天草市河浦町津516 
TEL.080(5204)1827(代表・携帯)
営/9時〜16時
休/水曜

■崎津・いかり
天草市河浦町津515の1 
TEL.090(2067)2972
営/10時〜18時
休/不定
>> 2 古い家並みが郷愁を誘う高浜で見つけたおいしいもの美しいもの
※各情報は掲載時のものです。料金や内容が変わっている場合もあります。
  あれんじ気まま旅
Vol.37(2011.10.1)掲載
天草灘から東シナ海につながる外海。その向こうははるか中国大陸というスケールの大きな眺めと対峙(たいじ)する天草・下島の西海岸。海の優しさと厳しさに寄り添う暮らしには、秋の日だまりのような温かな手ざわりがありました

文=松田有美 写真=森賢一(グラフ) 
表紙=羊角湾の入り江に浮かんでいるように見える津天主堂とその界わい(天草市河浦町)



海と空のはざまで深まる秋を感じて 天草西海岸
旧道にたどる 羊角湾の陰影 海際にたたずむ 尖塔を目指して
古い家並みが 郷愁を誘う高浜で 見つけた おいしいもの美しいもの
外海の荒波が もたらす海の幸 湯の町に 交差する人の営み
さまざまな “あお”が連なる 海岸線を走りぬける

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