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海風が流れる、港町の風景 松合・三角

古いなまこ壁が続く「汐見坂」の坂道。ここから、入り江に停泊する船が見えます


人々が「待ちあって」生まれた松合という名の町

チリひとつ落ちていない。キレイに清掃されている松合の町並み
 
松合の船溜(だまり)。漁を終えた船が停泊しています


松合の旧道にある水野さん宅の軒下には、通り行く人のために腰掛けがしつらえられて。「お茶でもどうですか?」と優しい声をかけてくれた水野昭子さん
 
松合のいたるところでみかけるなまこ壁。その風合いに心がいやされます


 磯の香りを風が運んで、対岸の島影を映し、夏の夜に幻想的な灯りを魅せるという不知火の海は、穏やかに凪(な)いでいます。
 波頭がきらめく海を左手にのぞみながら、国道266号を走り松合地区(宇城市不知火町)を目指しました。海沿いにある『錦寿司』を過ぎてすぐ右手の旧道に入ると、白壁土蔵の景色が見えてきて、たちまち、風情ある雰囲気に誘(いざな)われていきます。
 松合は、江戸中期ごろから港町として栄えました。海産品の生産も盛んになり、幕末には中国に向け、いりなまこ、フカヒレなどが、輸出され、交易港としてにぎわいました。
 「松合」の地名の由来は、船がにぎやかに往来する「津」だったことから、潮待ち、舟待ちする人たちの「待ちあい」が語源と言われています。人々はほんのつかの間、港で心を通い合わせたのでしょうか、何とも胸に温かい地名です。
 しかし、三方を山に囲まれ、漁港に民家が密集していた松合は、数々の大火にも見舞われました。その教訓から、火事に耐えうる土蔵づくりの白壁建築が昭和初期まで続けられたのです。
 なまこ壁が続く家並みを眺めながら歩いていると、観光地とは違う、美意識の高い暮らしが根づいていることに気づかされます。先祖が残した建物の保存につとめ、新築の家も土蔵白壁風につくられるなど、わが町への人々の思いを随所に感じ取れるのです。整然と清掃された通りや家々の間口、旧道に面した民家の軒先には、通りを歩く人のために腰掛けがしつらえてありました。
 「観光客や地区の人たちが座って休憩できる場所をと、大工さんにお願いしてこしらえました。昔、松合で使われていたみそ樽の廃材ば使っとるとです」と、ほがらかな笑顔で話してくれた水野昭子さん(68)。遠慮なく、ほどよい日陰の軒先に座らせてもらうと、潮風が頬を優しくなでていきました。


>> 2 いつかどこかで出合ったような光景
※各情報は掲載時のものです。料金や内容が変わっている場合もあります。
  あれんじ気まま旅
Vol.35(2011.9.3)掲載
 暦の上では秋ですが、青空にはまだ夏の気配を残す雲が浮かんでいます。それでもすぐそこに秋がしのびよっているようです。海からの風に秋を感じながら、宇城市不知火町松合と三角町の「港町」を訪ねました。

文=福永和子 写真=森賢一(グラフ) 
表紙=昔ながらの風情が漂う、松合(不知火町)の通り



海風が流れる、港町の風景 松合・三角
1 人々が「待ちあって」生まれた松合という名の町
2 いつかどこかで出合ったような光景
3 温かい絆で結ばれ元気に復興
3 三角町界わいにはお宝と思える風景がいっぱい
3 花の島・戸馳島そして静かな漁港 郡浦へ

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