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心うるおす“なごみ時間”


1765年築の旧緒方家。「道の駅きくすい」のオープン時に作品展示を頼まれたのが縁で
和水町に移り住んだ洋画家・小林政嗣(こばやしまさつぐ)さんの作品を展示した美術館&茶房として利用されています
(営業時間は10時〜16時で月曜定休、月曜が祝日の場合翌日)

美しい海の中にぽっかり浮かぶ湯島 そこにあるのは、温かい人情と島の暮らし

さりげなく飾られた土偶やはにわがノスタルジックな雰囲気を醸し出します
 
玉名郡玉東町から移築した江戸時代の旧山野家。4人まで1万円で簡易宿泊できます(予約は菊水ロマン館)

肥後民家村の石舞台は、お弁当を持ってピクニックするのにピッタリ!


今ではほとんど見かけなくなった五右衛門(ごえもん)風呂。下が熱くなるので板を敷いて入ります
 
ガラス工房『カリヒロ』では、サンドブラストやアクセサリー製作、吹きガラス体験が可能。自作のマイグラスが夏を涼やかに演出します
 
季節の花々が咲き乱れる花壇の一部は、北稜高校(玉名市)の生徒たちが実習の一環で整備しているそうです


肥後民家村の中にある水車。鮮やかな緑の木々と涼やかな水のしぶき。古里の姿を思います
 
江田船山古墳の石棺。中からは銅鏡や金の耳飾りなどの副葬品が出土し、有力豪族の墓であることがうかがい知れます

町家の風情に満ちたそば屋。予約すると、自分で打ったそばをいただくことができます  
真剣なまなざしでそばを切っていくご主人の中原さん。無駄のない美しい動きが、清らかな味のそばを生むのでしょう
 
江戸では「そば屋に長居は野暮だ」といわれていましたが、同店では食後のひと時をのんびり過ごすのがおすすめです


“蒸篭蕎麦(せいろそば)”800円。会津産のそば粉を使った十割そばは、のど越しの良さと上品な香りが特長です
 
「そばは茹でた瞬間から味が落ちます。女性のお客様も遠慮なく、音を立てて一気にお召し上がりください」と微笑む中原さんご夫婦


 菊池川からの豊潤な水が田畑を潤し、牧歌的なふるさとの原風景が広がる和水町。国指定史跡や豊前街道など多くの歴史遺産にも恵まれているこの町には、ゆっくり、のんびり“なごみ時間”が流れています。
 昔ながらの伝承の技術を体験できる場所があると聞き、向かったのは江田船山古墳公園内にある『肥後民家村』(同町江田)です。菊池川沿いにある広大な敷地には、県内外から移築した茅葺き屋根の旧家が5棟と水車小屋、いくつもの蔵が建ち並び、陶芸やガラス工芸、能面彫り、篠笛などの体験工房になっています。漆黒の梁(はり)と柱。漆喰の壁、どっしり構える建物の空間に身を置けば、そこだけ時間の流れがまるで違う気がします。
 茅葺き屋根の建物のうち、江戸末期に建てられた『旧河野家住宅』と『旧山野家住宅』は宿泊可能で、昔ながらの里山暮らしを体験できます。お風呂は懐かしの五右衛門風呂、ガスコンロの替わりに竃(かまど)と囲炉裏が用意され、薪(まき)をくべ、自分たちで火をおこして暖をとるシステム。何をするにも時間と手間がかかるスローライフですが、澄んだ水と空気に心まで満たされ、忘れられない思い出になることでしょう。
 また、すぐ横を流れる菊池川では、これからの季節カヌーを楽しめます。水面を滑るように進むカヌーに身をまかせ、自然との一体感を肌で感じるのもいいものです。川の流れがおだやかなので、初心者でも安心ですし、事前予約をするとインストラクターによる約15分間の講習が無料になるので見逃せません(予約は菊水ロマン館)。

 緑が最も美しいこの季節、肥後民家村の周辺を散策すれば、5世紀後半に築造された全長62mにも及ぶ前方後円墳・江田船山古墳や、巨木に守られるように鎮座する虚空蔵塚(こくんぞうづか)古墳が見えてきます。いずれも国指定史跡に選ばれている貴重な歴史遺産です。江田船山古墳は、出土した92件の副葬品すべてが国宝として東京国立博物館に保管され、日本の古代史をひも解くうえで重要な役割を担っています。古代の物語を秘めた場所が大切に残されていたことに感動するだけでなく、あらためて熊本という我が郷土が誇りに思えます。
 さて、おなかがすいたら、肥後民家村正面ゲート横の『蕎麦屋木阿彌(そばやもくあみ)』へ。そば職人・中原邦雄さん(70)が、つなぎを一切使わず「挽きたて、打ちたて、茹でたて」で供する香り豊かな十割そばを堪能できます。中原さんは定年後、趣味が高じてそば職人になって9年という、ちょっぴり異色な経歴の持ち主。
 「今まで数えきれないほどの実力店を妻と訪ね歩き、全国のおいしいそばを食べ歩いてきました。自分のお店を持った今も、おいしいそばを食べたい一心で毎日打っています。とにかくそば好きなんですよ(笑)」と中原さん。
 ゆえか、使われるそばは低温倉庫で大切に保管し、打つ直前に石臼で挽くというこだわりよう。しかも「風味、食感ともに楽しんでほしいから」と、お品書きに並ぶのは1年を通して冷たいそばだけ。緑風そよぐ窓の木々の葉を眺めながら、「ずずずっ」と音を立てて豪快にそばをたぐりたいものです。


問い合わせ
■肥後民家村
玉名郡和水町江田302
TEL.0968(86)4564
営/9時〜17時
休/月曜(祝日の場合は翌日)

■蕎麦屋木阿彌
玉名郡和水町江田302
TEL.0968(86)4885
営/11時〜14時半
休/月〜水曜
  >> 2 九州屈指の温泉エリア。化粧水いらずの美肌の湯
※各情報は掲載時のものです。料金や内容が変わっている場合もあります。
  あれんじ気まま旅
Vol.29(2011.6.4)掲載
平成18年に三加和町と菊水町が合併して誕生した和水町(玉名郡)。一般公募で決まった町名には「清らかな『水』の恵みが迎える、『和(なご)み』のひと時を過ごせる町に」という思いが込められているそうです。
その思い通り、素朴な田園風景が広がる和水町には、心までうるおす多彩な出会いが待っていました。

文=東上真弓 写真=内村友造(グラフ)
表紙=江田船山古墳公園にて



心うるおす“なごみ時間”
1:歴史と伝統が息づく肥後民家村で、タイムトラベル
2:九州屈指の温泉エリア。化粧水いらずの美肌の湯
3:豊かな水、大地の恵みに感謝

くまにちコム


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