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山の匂いと光る海へ。故郷に還る思いを馳せる


静かな山間に民家が並ぶかぐめ石地区


家を囲んで、暮らしに足りる畑の恵美と土地神さんが守る山里を行く

「地元の小学生が米蔵や、代々使ってた農機具や生活道具を社会見学に来るようになって。それをきっかけに、改装しました」と小嶋さんご夫妻
 
天保年間の木札が柱に残されている小嶋さん宅の米蔵。中には、昔の農機具や骨とう品が置かれています
 
「畑・山・川があって、素晴らしい楽園」と待子さんは瞳を輝かせて、畑仕事に精を出します


湯出川河畔に大小の岩が重なり合うかぐめ石。しめ縄で祀られて、霊験あらたかなパワーさえ感じます
 
集落の高台に祠(ほこら)を立て、お釈迦様が祀られています。前は広場になっていて、休憩するのに丁度いいのです


 寒い日が続いていますが、水俣は、刻々と春めいていくのを感じます。穏やかな日和に誘われ足をのばしたのは、鹿児島県出水市との県境に位置する「頭石(かぐめいし)」です。“頭”と書いて、カグメと呼ぶ不思議な地名に惹かれたのが訪れた理由のひとつ。
 水俣市内から県道117号を走り、秘湯・湯の鶴温泉を過ぎた先に広がる集落。36軒が暮らす集落は石垣で整えられ、目と鼻の先にダイコン畑やコンニャク畑があれば、茶の木が垣根となっています。大地の恵みと四季の移り変わりとともにある暮らしが営まれています。
 「ぐるっと家ん周りには食べもんのなんでんあるけん、暮らしにゃ困りません」と話すのは地元の小嶋利春さん(64)です。自宅に天保年間(江戸時代)に造られた米蔵があると聞いて見せていただきました。奥様の待子さん(59)は、「結婚する時、主人が『なんもなかトコ』って。来てみたら、畑はあるし、夏には蛍の舞う川があって、魚は釣れるし。お釈迦様や石神様が守ってくれるし、なにもかもあるじゃないって思いましたね(笑)」。そうなのです、ここには私たちが忘れかけていたものがたくさんあるのです。
 集落を見渡せる高台にはお釈迦様の祠(ほこら)があり、蛍の舞う湯出川沿いには、地名の由来にもなった岩、“かぐめ石”があります。“かぐめ”とは、「頭に物をのせる」という京言葉の「かぐめる」から付いたとか。見れば、なるほど、石が石をかぐめている風にも……。
 かぐめ石地区では、「村丸ごと生活博物館」と名づけて、地元の人が見どころを案内したり、地元ならではの料理を楽しませてくれる取り組みも行われています。“屋根のない博物館”を地元の人と心通わしながら、見て歩くのも面白いものです。

問い合わせ
■村丸ごと生活博物館
(水俣市役所農林水産振興課)
TEL0966(61)1634
>> 2 鶴亀の、縁起のいい温泉を巡って水俣グルメに出合いました
※各情報は掲載時のものです。料金や内容が変わっている場合もあります。
  熊本気ままに旅歩き
Vol.20(2011.1.15)掲載
新春の風に、そろそろ梅の香りも届きそうな季節。水俣に、温かな湯処と、地元の銘菓が味わえる“スイーツ街道”なるものがあると聞き、訪ねました。肥薩おれんじ鉄道で行くも、車で行くも……。山と海を歩けば、故郷の懐(ふところ)に抱かれた境地が待ち受けます。

文=森田玲子 写真=森 賢一(グラフ
表紙ロケ地=湯の児海岸沖にて



山野匂いと光る海へ。故郷に還る思いを馳せる
1:家を囲んで、暮らしに足りる 畑の恵みと土地神さんが 守る山里を行く
2:鶴亀の、縁起の いい温泉を巡って 水俣グルメに出合いました
3:スイーツ街道をひと巡り。 ほっぺたの落ちる甘さは、 旅の思い出に

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