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石が歴史を語る里山風景になごむ
名刹の釈迦院へと続く3333段の石段。1時間半で往復するというツワモノもいるが、ビギナーはマイペースで上るに限る。木立の続く周りや、眼下の風景を眺めながら進むのが楽しい


花・風・ひと—秋に染まる田園地帯を行く

.木立をぬって、石積みの棚田風景が見える
 
美里町では、刈りとった稲を棒に掛けて干す昔ながらの光景が目につく


 

吾亦紅(われもこう)。一説には、「吾(われ)も亦(また)紅(こう)なり」。あなたのようにありたい、という願いがこめられているといいます。花は上から下へと咲く。先に咲いた花を崇(あが)めるように咲く秋の花
石段を上る途中で苔(こけ)むした古い石段を発見。昔は、ここを往来したのだろう


 「美里町」。この優しい町名には、“美しい里山”に暮らす人々の故郷への憧憬がこめられているのでしょうか、農村の原風景ともいえるたたずまいが大切に残されています。
 甲佐岳や雁俣山(かりまたやま)の山系に囲まれた山間に集落が点在。山間部という形状を生かして棚田が広がり、ていねいに石積みされた田畑の光景に郷愁をそそられます。
 この時期、集落のあちこちで、刈りとった稲を束ねて、物干しみたく掛けて干す“掛け干し米”が行われ、その光景も美里旅情のひとつ。目を閉じて、嗅覚を頼りに芳ばしい稲穂の香りを吸いこめば、たちまち秋旅のご馳走になるものです。
 米処を潤すのは、緑川、釈迦院川、津留川など町を貫く豊かな水系の数々。さらにその水系が、江戸時代から、美里町の人々に石の文化を育ませることに。人馬や荷物を川をわたらせるために、また水路をわたすためにと、37基の石橋がつくられました。
 なかでも1847年につくられた霊台橋は国指定重要文化財。熊本県の石橋の代表格でもある通潤橋(山都町)は、この霊台橋などを手本に肥後の石工たちが手掛けて7年後に完成させています。石橋と並行して鉄骨製の新しい橋がつくられてからは観光用に限られていますが、今も歩いて通れる現役。橋の上は地面で、土の感触を靴底に感じるひとときは“足休め”になりそうです。
 石橋がテクノロジーの産物なら、アートと呼ぶにふさわしいのが日本一の石段。創建1200年という天台宗の名刹・釈迦院の表参道につくられた3333段の石段は、釈迦院御坂遊歩道(しゃかいん・みさか・ゆうほどう)として町のシンボルとなり、県内外の人々が訪れる観光名所。標高差620にもなる最上段からは、秋に色づく山々を一望できるビューポイントです。


  >> 2 美里産のグルメ巡りで、故郷を愛する心に触れる
※各情報は掲載時のものです。料金や内容が変わっている場合もあります。
  あれんじ気まま旅
Vol15.(2010.11.6)掲載
日本一の石段や、江戸時代につくられた石橋群など、石の文化が息づく美里町へ足を延ばしました。山間に暮らす人々、路傍の山野草に秋を求めて、小春日和の里山を歩いてみました。

文=森田玲子 写真=森賢一(グラフ) 
表紙=霊台橋にて



石が歴史を語る里山風景になごむ 美里町
1:花・風・ひと—秋に染まる田園地帯を行く
2:美里産のグルメ巡りで、故郷を愛する心に触れる
3:河畔の温泉と、緑茶アイスのスイーツで疲れを癒す

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