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秋の「天草下島・R324」 潮風に吹かれて巡る ときめきの出会い
天草ゆかりのポルトガル文化と天草陶石が融合して生まれた絵タイル「天草アズレージョ」。真っ白な地に海松(みる)文様が美しい。写真の試作品「海松絞」(高浜焼)など数点の作品が、苓北町物産館隣の苓北町商工会館2階に展示されています



ひそやかに咲く歴史ロマン そこに花開いた技と味を堪能する

.富岡港そばの『明月』はちゃんぽん好きには有名な店。褐色のスープ独特のコクが、自家製の太麺にしっかり絡みます。仕込みの分が終了次第閉店。ちゃんぽん600円
(写真は卵入り650円)
 
「五足の靴」の一行が立ち寄ったと伝わる当時の町長別宅“讃岐屋別亭”。個人所有のため中には立ち入れませんが、歴史秘話をしのばせる庭園の古木や風雅な門が通りから眺められます


.富岡港そばの『明月』はちゃんぽん好きには有名な店。褐色のスープ独特のコクが、自家製の太麺にしっかり絡みます。仕込みの分が終了次第閉店。ちゃんぽん600円
(写真は卵入り650円)
 
「五足の靴」の一行が立ち寄ったと伝わる当時の町長別宅“讃岐屋別亭”。個人所有のため中には立ち入れませんが、歴史秘話をしのばせる庭園の古木や風雅な門が通りから眺められます


富岡漁港近くにある富岡出身の高橋喜惣勝の文学碑。郷里を思う3首の歌が刻まれています
 
長崎仕込みの製法にもとづくしっとりした味わいが秀逸。黒瀬製菓舗のカステラ1本1500円


 穏やかな内海・有明海と、波荒い外洋・天草灘が富岡半島を挟んで対峙する天草郡苓北町。キリスト教の伝来とともに、日本文化と西欧文化が劇的な出会いを果たした場所でもあります。
 そんなドラマチックな富岡の名を全国的に有名にしたのが、北原白秋ら若き日の明治の文豪たちの来訪でした。その著名な旅行記『五足の靴』によると、一行は、1907年(明治40年)、町長・松本久太郎(きゅうたろう)別宅で歓談。“讃岐屋別亭(さぬきやべってい)”と呼ばれたその別宅は今も当時のまま残り、『五足の靴』一行の天草最初の宿泊地ではと注目されています。
 この別亭が歴史に登場するのは、この時だけではありません。高杉晋作の奇兵隊にも身を置いた博多出身の勤皇志士・石蔵卯平(いしぐらうへい)が幕府の刺客により落命した場所でもあり、日本統計学の父と敬われた細川雄二郎ゆかりの別荘でもあるのです。
 その前に佇むと、秋のシンとした空気の中、どこからか、チリリリン……とレトロな電話のベルが聞こえ、またすぐ静けさに包まれます。その静寂が、なお一層、かつてここに起きた波乱や興奮に思いを誘うのです。現在は町内の鎮道寺の役宅となっています。
 さて、富岡の街中には、間口が狭く奥行きがある、江戸期の代官所陣屋時代の商家・町家の面影が多く残ります。その一角にある『黒瀬製菓舗』は、創業約150年。富岡を代表する老舗です。ここで長崎直伝のカステラを手がけるのは、七代目の黒瀬正博さん(69)。「しっとり感が違うから」と、泡立てなどの力作業を一切機械に頼らず今も手作業で作られています。
 さて、富岡漁港のそばに、静かに佇む歌碑がありました。これは、芥川賞候補になりながら、東京で不遇の生涯を閉じた富岡出身の文人・高橋喜惣勝(たかはしきそかつ)の碑。貧しくも平和な故郷の島に思いをはせた彼の望郷の念が歌に乗り、碑の背後に輝く海の波間に美しく蘇るようでした。



問い合わせ
■天草アズレージョ
(問い合わせは苓北町商工会)
天草郡苓北町上津深江4535の2 
TEL.0969(37)1244
※天草アズレージョの製品は、
内田皿山焼TEL.0969(35)0222などで販売。
インターネット販売はhttp://ceramica-amacusa.jp

■ちゃんぽん明月
天草郡苓北町富岡2650の1 
TEL.0969(35)0210
営/11時〜14時(ただし、食材がなくなり次第終了)
※土・日・祝日は開店時間は不定で、
週末等は昼過ぎから開店のことも。
休/月曜(その他臨時休業あり)

■黒瀬製菓舗
天草郡苓北町富岡3243 
TEL.0969(35)0119
営/8時〜19時 
休/第1・3木曜
http://www1.bbiq.jp/kuroseseikaho/
  >> 2 美味なるウニや天然海塩。島の自然と人々が生み出す海の恵み
※各情報は掲載時のものです。料金や内容が変わっている場合もあります。
  あれんじ気まま旅
Vol14.(2010.10.16)掲載
島原湾、天草灘、遠くかすむ東シナ海……ダイナミックな海のパノラマが広がる天草下島の北海岸。国道324号の周辺に分け入れば、ロマンとグルメ、人の温もり……珠玉のような味わいが、訪れる人を待っていました。

文=松田有美 写真=森賢一(グラフ)
表紙=天草市五和町二江崎中地区の船着き場にて。



秋の「天草下島・R324」 潮風に吹かれて巡る ときめきの出会い
1:ひそやかに咲く歴史ロマン そこに花開いた技と味を堪能する
2:美味なるウニや天然海塩。 島の自然と人々が生み出す海の恵み
3:天草の陶芸、洋菓子。根付き始める新たな伝統

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