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秋色に染まる高森町で出会う ものづくりにいそしむ人々

校庭も校舎も、子どもたちが通っていた当時のままに残される「阿蘇フォークスクール」。
屋根の上から見える根子岳のギザギザも絵になる風景です

地元クラフトマンの手仕事にふれる ぬくもりある学び舎

黒板消しや黒板用の物差しがポツンと置かれた黒板を見ていると、今にも授業が始まりそう。教室や掲示板に飾られる学校行事を写したモノクロ写真がノスタルジック
 
体験教室や作品展、ライブなどにも利用されている教室。「イベント室」ではさまざまなワークショップが開催されています


「こんなに幅広かったっけ?」と思う校内の廊下。ぞうきんがけも大変だろうな〜としみじみ。窓からは根子岳が眺められます
 
地元はもちろん全国に散らばるサポーターの作品を展示販売するギャラリー。一日体験から本格的な工芸品作りまで、多彩な講師が指導する体験も受け付けています(要予約)。詳しくは HP や電話でお問い合わせを

竹のおもちゃを作る城戸勝さん(63、右)と革工芸の山田良典さん。城戸さんはブランコや椅子、机などのミニチュアを竹林整備で切り出した竹を使って作っています。一方、山田さんは、子どもたちとキャンプで訪れた高森の景色が気に入り、そのまま住み着いてしまったとか。ベルトや財布、バッグなど、繊細なモチーフを施した革小物が人気です


「木の珈舎」で人気なのは週替わりで登場する素朴なアメリカン・カントリー・ケーキ。高森で採れるおいしい素材を使い、今なら地元の「小泉農園」から届く完熟トマトを使った“トマトのシフォンケーキ(250円、アイス添えは400円)”がおすすめ。トマトのさわやかな甘味と、米粉のモチモチとした食感がやみつきに
 
校庭を眺める窓辺も素敵な「木の珈舎」。木の家具やおもちゃなど、木の校舎の雰囲気にぴったりなインテリアも印象的です
 
妹さんが高森にお嫁に来たことがきっかけで、福岡から移住した林美子さん(55)。ケーキはもちろん、カフェ内で販売する布小物も手掛けています


どっしりとした梁や柱が構える「里の駅たにやま」。廃屋の牛小屋だったとは思えない存在感あるたたずまい。母屋をそのまま利用した宿泊施設は素泊まりで1泊1000円と格安。子ども会の合宿やライダーなど、団体から個人まで受け入れています(子ども料金500円、朝食500円、布団代300円)
 
やわらかなあか牛のソテーに、手作りのお総菜がチョコチョコ詰まった「あか牛のランチ」(800円)


波野の窯元から届く陶器や南阿蘇村のガラス作家の作品など、阿蘇生まれのクラフトをセレクトしたショップも併設
 
「食事をした後もゆっくりして欲しい」と谷岡さん。2階のギャラリーにはタイプの違う椅子が置かれ、本を読んだりうたた寝したり…思い思いにくつろぐことができます
 
雑貨のほかに、お土産に最適なトマトジュースを発見。小泉農園で栽培した完熟ミディトマトを使用した「高原の小さな太陽」1本(500ml)1800円

温泉と景色が気に入って高森に住み始めた谷岡卓さん(62)と妻の鈴子さん


 町の北側にそびえる根子岳。ギザギザの頂を持つ山を背に、築60年の木造校舎が立っています。ここは、平成15年に閉校になった旧上色見小学校。 小学校の統廃合により112年の歴史に幕を閉じると同時に、木造校舎も取り壊される予定だったといいます。
 「上色見小学校は、私の三人の子どもたちも通った学校なんです。なんとかこの校舎を残したいと思い、地域活性化の拠点として利用することを提案。保護者会のみんなと協力して地域の人たちを説得し、校舎を残すことができました」と話すのは「NPO法人阿蘇フォークスクール」理事長の山田良典さん(58)。アメリカの農村にある工芸などの学習施設・フォークスクールをモデルに、暮らしを楽しむためのものづくりを学ぶ学校として再出発。昭和の香りが残る木造校舎は、さまざまな人を受け入れる新しい学び舎に生まれ変わりました。
 校舎の真ん中にある三角屋根の玄関を上がると、ピカピカに磨き上げられた木の廊下が左右に伸びています。クラス名の代わりに「木の玩具館」「絵本の館」「イベント室」などの手作りの案内板が掲げられた教室に入ると、小学生の頃の思い出が蘇ってきます。
 「事務室」では、革工芸に携わる山田さんの作品をはじめ、木工や染織りなどの地元に住むクラフト作家の作品を展示販売。また、子どもたちを「絵本の館」「木の玩具館」で遊ばせている間に、カフェ&ギャラリー「木の珈舎(こうしゃ)」でゆっくりくつろぐお母さんも多いとか。時間を経てきた木造校舎。子どもたちを育んできたあたたかい空気は、今でも訪れる人のこころをいやしてくれます。
 「根子岳と木造校舎のロケーションに感動して、フォークスクールのメンバーになったんですよ」と話すのは、隣接する「里の駅たにやま」のオーナー谷岡鈴子さん(60)。大阪出身で高森町へ移り住んだという谷岡さんは、フォークスクールの運営に関わりながら昨年「里の駅たにやま」をオープン。廃屋になった農家を買い取り、牛小屋は古民家風レストラン、母屋は格安の宿泊施設に改装。フォークスクールと連携したプログラムもあり、ちょっとした田舎暮らしが体験できる施設になっています。また、陶器やガラスなど阿蘇一帯で作られるクラフトやリネンの雑貨が並ぶショップもあり、センスのいいセレクトに買い物ゴコロがうずきます。



問い合わせ
■NPO法人阿蘇フォークスクール
阿蘇郡高森町上色見1390の1 
TEL.0967(62)0027
営/10:00〜17:00 
休/火・水曜(12〜2月は土日曜のみ営業)
http://asofolkschool.eco.to/
※「木の珈舎」は土日曜、祝日、イベント時のみオープン


■里の駅たにやま
阿蘇郡高森町上色見1388の1 
TEL.0967(62)1416
営/11:30〜16:00 
休/月・火曜(11月中旬〜3月末まで休み)
>> 2 作り手の人柄にもひかれる根子岳の麓で工房めぐり
※各情報は掲載時のものです。料金や内容が変わっている場合もあります。
  あれんじ気まま旅 IN KUMAMOTO
Vol.13(2010.10.2)掲載
南阿蘇鉄道の終点・阿蘇郡高森町。阿蘇五岳と南外輪山に囲まれたこの町は、古くから産業や交通の要所として栄えてきました。今回は、中心部の高森駅から少し足を延ばして、根子岳の麓で「ものづくり」にいそしむ人々を訪問。一足先に秋の訪れを感じる町で、素朴な手仕事の魅力にふれてきました。

文=廣木よしこ 写真=森賢一(グラフ)
表紙=「里の駅たにやま」にて



秋色に染まる高森町で出会う ものづくりにいそしむ人々
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