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脈々と受け継がれた伝統と 人情味が誘う口福三昧、笑顔満開。 「芦北」


漁の出来は“風”次第。 形なき風を見る目が漁師にはある

エンジンが設置され船の近代化が進んだとはいえ、マストや滑車はあえて木材を使用
 
  風待ちの“静”の姿勢から、「風を逃がすな!」と“動”へ一瞬にして変わる船頭の洲崎さん


沖を進むうたせ船は、現役漁船として頑張る5隻のうちの1隻
 
青空と白帆とのコントラストが美しく、これから始まる漁への期待が自然と高まっていく

洲崎さんの父・満潮さん(72)。「親父は月が出ていない闇夜でも風が見える」と、洲崎さんに言わしめるほどのベテラン漁師


芦北漁協の組合長・八里政夫さん。あれんじ取材に協力するため、休日返上で駆けつけてくれた。その心意気に感謝!
 
現在はナイロンの白帆を使用しているが、昭和30年頃まではわらござを使用。風を逃がさないように塩水を吹きかけながらの漁だったそう

計石港を出港して約20分。御所浦島の手前が絶好の漁場だ



年間300日は海に出る洲崎さんからは、海の男独特のオーラが漂っていた
 
大漁を期待してか、カモメたちも集まってきた


 夏の日差しを浴びてキラめく不知火海をゆっくり進むうたせ船。風を一身に受けて膨らんだ白帆は、まるでドレスをまとった女性を思わせ“海の貴婦人”と称されるほど優美です。うたせ漁の始まりは今からおよそ400年前。広島県の瀬戸内海から伝わってきました。当時、芦北の浦々には細川藩のお抱え水夫(かこ)が数多くいて、日本各地へ出向いて見聞を広げ最先端の漁を積極的に導入していました。その一つがうたせ漁だったのです。現在、芦北漁協では5隻が漁船として活躍し、昭和56年からスタートした17隻の観光船とともに伝統漁法を伝えています。
 「うたせ船の漁師には風を見る力があっとよ」。真っ黒に日焼けした額に玉のような汗を光らせ笑顔で語ってくれたのは、今回の船頭・洲崎健一さん(41)です。というのも、うたせ漁は帆船を風で流しながら底引き網を引く“芸洲(げいしゅう)流し”という漁法。それだけに風の向きや強さを的確に見極め「船に設置された9枚の帆のうち何枚を、船首をどちらに向けて張るか」、瞬時に判断することが漁を左右するのです。
 “風を見る”なんて初めて耳にする言葉に戸惑う私たちに、洲崎さんは「海面が白い部分は凪(無風)、黒い部分は風があるしるし。細かな波が模様を描いている部分は“風子(かぜこ)”が吹いていて、『風子が走れば風が吹く』って言われる、風のはじまり」と教えてくれました。


>> 2 エビ、イカ、カレイ。新鮮な海の幸は美味至福
※各情報は掲載時のものです。料金や内容が変わっている場合もあります。
  あれんじ気まま旅 IN KUMAMOTO
Vol.11(2010.9.4)掲載
真っ青に澄んだ青空と白い雲。颯爽と風が走り抜ける不知火海。豊じょうの海に抱かれた芦北郡芦北町には、海に生きる人々の揺るぎない信念と温かさが息づいていました。

文=東上真弓 写真=森賢一(グラフ)
表紙ロケ地=芦北町計石港沖合いの不知火海



脈々と受け継がれた伝統と 人情味が誘う口福三昧、笑顔満開。 「芦北」
漁の出来は“風”次第。 形なき風を見る目が漁師にはある
エビ、イカ、カレイ。新鮮な海の幸は美味至福
キーワードは“人情味”。美味三昧に心もほっこり

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