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豊かな水運に育まれた 商人の町・職人の町 川尻


江戸時代の繁栄を今に伝える 船着場や米蔵が国史跡に

バス停や郵便局の名前になるほど地域に親しまれている『外城蔵』。明治2〜3年までは米蔵として使われ、その後は農業倉庫としても使われていました。この規模の蔵が残るのは、全国でも珍しいそうです
 
『御蔵』と合わせて国史跡に登録された『船着場』は、鹿児島本線の鉄橋のほぼ真下。近くには、熊本初の公衆トイレと言われるレンガで造られた小さな建造物も見られます


昭和28年から川尻に住んでいるという西輝喜さん。川尻では、西さんをはじめ約10人のボランティアガイドが町の案内をしています。詳しくは『くまもと工芸会館』へ。問096(358)5711
 
江戸時代、藩の軍港としても全国に知られていたのが『御船手渡し』。参勤交代で使われていた藩主の船も入港していたとか。石畳は当時の姿のままで残され、西さんによると、次の国史跡登録候補になっているとか
 
石積の遊歩道を歩いて、船着き場から御船手渡しへ。遊歩道は新しく整備されましたが、歩きながら見渡す対岸の景色は昔のまま


順徳天皇の第三皇子・寒巌禅師(かんがんぜんし)により創建された由緒ある『大慈禅寺』。国指定重要文化財の梵鐘や、高さ3.5mの大仏で知られています
 
芳醇で辛口の酒造りを続ける『瑞鷹(株)』。夏に飲むなら、軽い口当たりながらも豊かなコクが楽しめる本醸造「生酒」がおすすめ。1本545円(350ml)
 
赤酒や焼酎を醸造する酒蔵の一角にある『東肥大正蔵』。赤酒などの資料の展示のほか、瑞鷹のお酒や焼酎を販売。試飲や市販されていない焼酎の量り売りも行われています


 熊本の街中から車で20分程度で到着する熊本市川尻町。国道3号と平行して走る県道50号をメーンストリートに、新旧様々な商店が建ち並ぶ“商人の町”です。
 メーンストリートを一歩入れば、小道と水路が複雑に交差しています。川尻は、奈良・平安時代から自動車が普及する昭和まで、加勢川の水運で栄えた町。加藤清正により、軍港および年貢米の積み出しなどの商港として整備され、続く細川氏の時代には、熊本・八代・高瀬・高橋とともに肥後五カ町の一つに。港界隈には回船問屋や旅籠、料亭が軒を連ね、刃物、桶、染め物に職人が腕を競っていました。「水運を利用して、川尻に物が集まり、人が集まってきました。“商人の町・職人の町”として発展したのも、豊かな水運があってこそですね」と、町おこしに携わる「川尻文化を考える会」の会長の西輝喜さん(85)は話します。
 当時の面影を今に伝えるのが、御蔵と呼ばれて親しまれる「外城蔵跡(とじょうぐらあと)」と「船着場跡」。2つの史跡は、この夏「熊本藩川尻米蔵跡」として国史跡に指定されました。「御蔵」は約590平方メートルの大きさで4つの扉を持つ「四戸蔵」と、その半分程の大きさの「二戸蔵」の二棟の蔵が並んで立っています。加勢川のそばにあるため、米俵が水害でぬれないように床が高く、風通しをよくするための小さな通気窓がいくつも設けられるなど、米の品質を守るための工夫が凝らされています。
 もう一つの史跡「船着場」は、御蔵のすぐそば、加勢川右岸にあります。長さ150メートル、14段の石段が積まれています。船着場からさらに下流にある藩の軍港「御船手渡(おふなてわたし)」までは、昨年散歩道が整備され、のんびり川岸を歩くことができます。昭和30年代までは、対岸に渡るための渡し船もあり、生活用水にもなっていたと言います。「水運で栄えたこの町には、川を生かした生活が根付いています。現在の町づくりも、やっぱり川を利用していかないと」と、史跡に指定された後の町づくりを考えるのが目下の楽しみなのだと語ってくれました。
 ほかにも、町歩きの目を楽しませてくれる史跡が点在。慶応3年創業の「瑞鷹」の酒蔵、少し足を延ばせば、弘安元年(1278)創建の「大慈禅寺」など、歴史散策には事欠きません。西さんが会長を務める「熊本市南部地域歴史研究会」でも、ボランティアガイドとして町の史跡を案内してくれます。


問い合わせ
■瑞鷹(株) 東肥大正蔵
TEL.096(311)6275(直通)
営/10時〜17時
休/月曜
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※各情報は掲載時のものです。料金や内容が変わっている場合もあります。
  あれんじ気まま旅 IN KUMAMOTO
Vol.10(2010.8.21)掲載
熊本市の南部、加勢川河口に位置する川尻。ここは、中世の頃から熊本の要所として繁栄し、商人や職人によって文化が育まれてきた町です。白壁の蔵や町家、歴史を物語る史跡が数多く点在する界隈を、のんびり歩いてきました。

文=廣木よしこ 写真=森賢一(グラフ)
表紙ロケ地=川尻4丁目の瑞鷹本社周辺



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