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(3)木々のくせを生かす こだわりの木工品

(3)木々のくせを生かす こだわりの木工品

2018年5月5日
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オーダー家具を作る松田さん。熊本市内から学びに来るお弟子さんもいます

五家荘で育った木を使って木工品を作る職人さんがいます。葉木地区にある「五家荘工芸」の工房では、椅子やテーブル、たんすなどの家具から、しゃもじやバターナイフなどのキッチン用品まで、幅広い木工品が作られていました。

ひざ楽椅子(左1万8000円)と重ね椅子(2万2000円)。使えば使うほど、愛着が湧きます

なかでも、目が止まったのが、キッチンツール。たとえば同じバターナイフでもスギやカエデ、ヒノキなど、木の種類によって、風合いはいろいろ。手にとると、指に吸い付くようにぴたりとなじみます。

変わった形のまな板も見つけました。まな板の端に、刻んだネギなどを入れることができるように、くぼみが作ってあります。

端にくぼみをつけたヒノキのまな板(3500円)は、使い勝手がいいと評判です

「お客さんからアドバイスをもらいながら改良していたら、この形になったんですよ。材料は、ヒノキとホオノキを使っています。ホオノキは、昔から五家荘でまな板として使われていた材料です」とやわらかい笑顔で説明してくれるのは、木工作家の松田剛(こわし)さん(64)です。使いやすさを求めて、無駄なものをそぎ落とした木工品は、シンプルな美しさがあり、使えば使うほど味わいが増していくそうです。

五家荘で育ち、大工や林業の経験もあるという松田さんは、今から34年前に、この場所で木工品を作りを始めました。秋から冬にかけて伐採された木を、室温80度の小屋で1週間かけて乾燥させた後、さまざまな形に加工していくそうです。

「同じヒノキでも、まっすぐな木は嫁に行けるばってん、ちいっとひん曲がった子はなかなかもらい手がなくてね(笑)。そんな木材を引き取って個性を生かしながら家具に仕立てるのは、荒馬を手なずける調教師の気分です」と笑います。

どんな木材も大切に扱い、木々のくせを味わいに変えた木工品は、山に守られて育った松田さんの恩返しの気持ちなのかもしれません。

バターナイフ(800円~)は、ナイフの先がテーブルに付かないように工夫されています

みそこぎやしゃもじ、万能ヘラなど、どれも使い勝手がよく手になじみます(800円~)。熊本県伝統工芸館でも購入できます

「自分のペースで楽しんで作っています」と話す五家荘工芸の松田剛さん

五家荘工芸