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(3)働き者の“迫ん太郎”って何?

(3)働き者の“迫ん太郎”って何?

2018年3月3日
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元田さんが復元した迫ん太郎。渓谷から流れてくる水が水車を回します

ところで、水上村の働き者、迫ん太郎(さこんたろう)をご存じですか? 実は迫ん太郎は人ではなく、迫(=谷)に集まる水の力を利用して動く水車のことで、“よく働く”という意味で“太郎”と名付けられたと伝わります。

市房山の西麓に広がる水上村は、標高が300~400メートルほどの傾斜地に大小の川や水路が数多くあります。昭和30年代までは、水の力を利用した迫ん太郎が村に何十基もありました。当時は、米やヒエ、アワをついたり、線香の材料であるタブの木の皮をはぐのにも使われていたといいます。石油で動く発動機の普及とともに消えていきました。

迫ん太郎の横にある水車小屋の中では、米を精米します

当時を知る大工の元田文芳さん(94)が、2012(平成24)年に、迫ん太郎を手作りし、よみがえらせました。

迫ん太郎は、バス停「市房登山口」のある「せせらぎ公園」にありました。「今は動いとらんけど、動かそうと思えば、用水路の高澄溝(たかすみみぞ)の水の力で動くよ。前回迫ん太郎ば作ったのは、昭和25年。久しぶりに作ったばってん、上手にでけたなあ」と大工歴80年の元田さんは満足げです。

迫ん太郎を復元した元田文芳さん

水上村には、製材所や鍛冶屋、木工職人など、今では珍しくなった職人が残っています。製材業を営む“やっさん”こと杉本商店の杉本泰治さん(69)は、「昔は必要なもんは、たいぎゃわがどんで作いよったよ。迫ん太郎は、ギーットン、ギーットンて音ば立てて、夜を徹してよう働きよらしたなあ」と、まるでご先祖様の働きぶりを自慢するかのような口ぶりで話します。

「茶ば、飲んでいかんね」と声をかけてくれた杉本商店の杉本泰治さん

水上村産業振興課の林田健司(たけし)さん(26)は、「迫ん太郎は人、山、水、そして里山で採れる産物など、たくさんのものとつながっています。過去と未来をつなぐこの迫ん太郎が、今後の水力の生かし方について考えるきっかけになればいいですね」と話します。

テニスが趣味の水上村産業振興課の林田健司さん

そんな迫ん太郎を題材にした冊子を、2016年に水上村観光協会が作成しました。「水上村は、国の天然記念物に指定されている珍しいチョウ『ゴイシツバメシジミ』の生息地です。村が丸ごと自然のテーマパーク。遊びに来てください」と会長の西和人さん(56)は話します。

水上村観光協会が発行した「未来につなぐ村の宝物」(各780円)。「お嶽さん参り」「水上村の山野草Ⅰ」「迫ん太郎」「ゴイシツバメシジミ」の4巻が発行されています

「ゴイシツバメシジミを守る会」の会長も務めている水上村観光協会会長の西和人さん

「水の上の学校」開催

「春の水の上の学校フェア」(4月中旬予定)では、午前中、山菜狩りやカヌー、草木染めなど各自好きな体験を楽しんだ後、約50種類の山菜を使ったバイキングを楽しめます。また「山菜ツアー」(3月25日、5月6日)「ツクシアケボノツツジツアー」(4月30日)「市房山でヨガ体験」(5月30日)なども企画。さらに天然ヤマメ釣りの学校、市房杉トレッキングツアー、市房ダム湖でカヌーの学校などの体験申し込みも随時受付中(要予約)。
問/水上村観光協会0966-46-0800

水上村観光協会(「水の上の学校」「未来につなぐ村の宝物」)