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(4)白川地区の水場で 〝漬物名人〟たちに出会う

(4)白川地区の水場で 〝漬物名人〟たちに出会う

2017年12月2日
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おみやげにもらった高菜漬け。新漬けはシャキッとした食感、古漬けはべっ甲色で滋味深い味でした

南阿蘇村を代表する観光地、名水「白川水源」があることで知られる白川地区。豊かな湧水が点在します。

庭先に自噴する水場で、ダイコンの葉を洗っている藤本ハヤ子さん(81)に出会いました。自宅の畑で採れたというダイコンの葉は、どうやら漬物にするようです。

「ちょっと、寄っていかんね」と声を掛けてくれた藤本ハヤ子さん

敷地の隅に、小さな建物がありました。「ここはね。おしゃべりの部屋とたい(笑)」と案内されたのは、漬物の加工場。中では、にぎやかな笑い声にわいていました。

集まっていたのは、近所に住む後藤チヨ子さん(84)、後藤ムツさん(86)、加藤ヨミ子さん(80)です。

みなさんは、60年ほど前にこの地区の農家に嫁いで以来、ずっと仲良しです。おしゃべりの話題に上るのは、今年の大根の太り具合や、一緒に暮らす孫の話、そして漬物の塩の“あんびゃあ(あんばい)”など。

「ムツさん以外は、みんな独身よ」と笑う、左から藤本ハヤ子さん、後藤チヨ子さん、加藤ヨミ子さん、後藤ムツさん

毎年、本格的な冬が始まる前に、保存食用の漬物作りをするそうです。レシピは各々の姑から教わったものです。「家々によって味が違うばってん、それぞれにおいしかとよ」とリーダー的存在の後藤ムツさんが言います。

漬物だるから揚げられた高菜の古漬けは、あめ色に染まっています。「新米とこれさえあれば、他にはなーんもいらんね」とみなさんが口をそろえます。それぞれの家で作った漬物や梅干しは、この「おしゃべりの部屋(加工場)」で袋詰めにし、近くの物産館「自然庵」に出荷しています。

「自然庵」は、毎分60トンもの水が湧き出る「白川水源」の入り口にあります

地元の新鮮野菜や手作りの漬物などが販売されている物産館「自然庵」。名水で育てたコシヒカリ「はくすい米」もあります

その「自然庵」では、農産物やお酒、加工品。白川水源の水を使った「珈琲牛乳の素」やみそやしょうゆなど、ここでしか買えない商品も販売されています。

同館係長の後藤好子(56)さんは、「南阿蘇は、水も、お湯も、人も最高。これからの季節は、空気が澄み切っていて、雪景色も風情があるとですよ。見せたかー!」とPR。後藤さんの郷土愛につられ、気づけば手にいっぱいの買い物袋。

「自然庵」の“3人娘”。左から木村光代さん(63)、後藤好子さん、河内美和子さん(62)

白川水源の水とてん菜糖で作られた「珈琲牛乳の素」(200ml、585円)が人気

夕暮れの南郷谷は、冬の寒さがしみます。けれど、谷人の優しさが心に温かく、今日の出会いに感謝して、長陽大橋ルートで帰路につきました。長陽大橋経由だと南阿蘇村役場から立野地区まで車で10分余りです。

物産館自然庵