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(2)こんな時だからこそ 谷内(たにうち)の仲間を、元気づけよう

1762(宝暦12)年創業の山村酒造

(2)こんな時だからこそ 谷内(たにうち)の仲間を、元気づけよう

2017年8月5日
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1936(昭和11)年の風鎮祭の写真。横町6組の造り物の獅子が、豊前屋本店の前に来たときの様子です

昨年の風鎮祭は、熊本地震の影響で開催が危ぶまれました。

「高森町は幸いにして大きな被害はなかったのですが、お隣の南阿蘇村の被害が大きく、開催しようかどうかと悩みました」と風鎮祭実行委員長の吉良充展(みつのぶ)さん(49)。

「先輩たちのスピリットを、次の世代につないでいきたい」と語る風鎮祭実行委員長で、豊前屋本店5代目社長の吉良充展さん

ブルーシートで覆われた家々の様子を見ると、吉良さんは「こんな時に、祭りなんてやっていいのだろうか」という思いにかられ、何度も話し合いを重ねたと言います。

「南阿蘇村の人たちは、同じ南郷谷に暮らす仲間。こんな時だからこそ、“谷内”の仲間を元気づけてもてなしたいと思ったんです」

町衆の思いを一つにして、風鎮祭は開催されました。初日には南阿蘇鉄道が中松駅から高森駅まで臨時の招待列車を運行。「浴衣姿の子どもたちがたくさん来てくれてうれしかったですね」と吉良さんは振り返ります。

しょうゆやみそなど、こだわりの調味料や加工品が所狭しと並んでいます=豊前屋本店

大正時代のラベルを復刻した卓上用しょうゆ。唐草や幾何学模様のボトルは、詰め替えて何度でも使えます(100ml・480円)=豊前屋本店

大根、キュウリ、ニンジンの3種の野菜をみそ漬けにした「風鎮漬」(300g・648円)や、あわせみそ(583円)、リピーターが多い「ジャンジャンかけてうまいっ酢」(左奥・200ml・540円)=豊前屋本店

豊前屋本店スタッフの、左から松村由美さん、小林知世さん(29)、藤本佳代子さん(46)

豊前屋本店(阿蘇マルキチ醤油)

 

伝統を受け継ぎながら、町の活性化を支えています。

「風鎮祭というと、子どもながらに正々堂々と、親から怒られることなく“買い食い”ができるのが楽しかったですね」と話すのは、下町向上会会長の山村純平さん(35)。

「子どもの頃に楽しませてもらったので、その恩返しの思いで風鎮祭を盛り上げたい」と語る山村酒造・杜氏(とうじ)で製造部長の山村純平さん

風鎮祭で、子どもたちは「子ども手踊り」で町中を練り歩き、“御花(おんはな)”をもらいます。

子どもたちは平等に分配された御花のお金を握りしめて、屋台へと繰り出すというわけです。

「夏の暑い中に練習を重ねて、自分で稼いだお金だから、大人たちは文句が言えんとですよ」と山村さんは笑います。

そんな山村さんは現在、仲間とともに「高森にわか」の練習に大忙しです。高森にわかは、移動舞台で繰り広げられる出し物。現代のギャグなどを取り入れ、即興で台詞をやりとりするのが見どころです。

「今年の出し物の内容は内緒です(笑)。私が所属する下町向上会は、去年『にわかコンクール』で優勝しており、今年も優勝を狙いますよ」と意気込みを語ってくれました。

風鎮祭実行委員長の吉良さんは、1870(明治3)年創業の阿蘇マルキチ醤油の社長でもあります。

そして山村さんは、1762(宝暦12)年創業の山村酒造の杜氏(とうじ)であり、2人はこの土地で育まれてきた商家の伝統を受け継ぎながら、町の活性化を支えています。

そして風鎮祭が終わると、阿蘇の山里には一足早い秋が訪れます。

1762(宝暦12)年創業の山村酒造。代表銘柄である「れいざん」は、神々が宿る山「霊山阿蘇」にちなみ命名されました

れいざん純米酒(1800ml・2484円)、霊山梅酒(300ml・864円)、大吟醸れいざん(箱入り)(720ml・4320円)

蔵元限定のれいざん蔵出原酒 (720ml・1300円)


1860(万延元)年に建造された酒蔵は、夏でもひんやりとした空気が漂います

山村酒造