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(3)石柱が支える珍しい石橋 繊細な美しさの南蛮手まり

右から佐々木富美代さん(69)、倉田良子さん(62)、猪原千津子さん、泉恵美子さん、横島ミネカさん(81)、松本サワミさん(69)、中村カナエさん(83)

(3)石柱が支える珍しい石橋 繊細な美しさの南蛮手まり

2017年7月15日
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祇園橋は歩いて通れます。橋の向こうは八坂神社

本渡町を流れる町山口川に架かっているのが祇園橋(国指定重要文化財)です。

祇園橋と、その向こうに続く八坂神社のたたずまいには情緒があり、思わず写真を撮りたくなる景色です。

天保3(1832)年に建造されたこの石橋は、多脚式アーチ型で、45脚の角柱によって支えられている、全国的にも珍しい造りです。

45本の橋脚で支えられた石橋。天保3(1832)年の築造

本渡には古くから伝わる「天草南蛮手まり」があります。天草・島原の乱の総大将だった天草四郎が最期を遂げた時、恋人のミチカが四郎を思い、手まりを作ったという伝説が残されています。

「天草市本渡地区公民館」で天草南蛮手まり制作のサークル活動をするグループを訪ねました。テーブルにはみなさんが手作りした、色鮮やかな天草南蛮手まりが並んでいました。

キキョウ、キク、ウメ、サクラなど模様もさまざまで、あらためて日本美の素晴らしさに感動します。

「天草市本渡地区公民館」で月に2回集まり、天草南蛮手まりを制作するサークルのみなさん

サクラ

ウメ


キク

キキョウ

「私たちの小さかころは、女の子の玩具として贈ってもらいよったですね。天草南蛮手まりは、いったん途絶えたのですが、昭和30年代に本渡婦人会によって復活しました」と泉恵美子さん(71)。

南蛮手まりの作り方は、丸い発泡スチロールに綿を巻いて、糸を巻き付けて手まりのベースを仕上げます。

「そこから一針一針、お化粧をするようにリリアン糸で模様を刺していくんです」と泉さん。

猪原千津子さん(75)は「手間と時間はかかりますが、手まりを作っているときは、なーんも考えんけん、心を切り換えたいときはよかです」といいます。

いろんな色のリリアン糸をおさめた針箱

色鮮やかな天草南蛮手まり

フサを付けて完成する天草南蛮手まり

「一針一針、心を込めて」という言葉が印象的でした

先日、このグループにダンボール箱いっぱいの手まりの材料が届きました。送り主は千葉県在住の女性で、その方の祖母の遺品だったそうです。

聞けば、その女性は残された材料を頼りに、全国で刺繍(ししゅう)手まりが作られている場所を探し、ようやく天草南蛮手まりにたどり着いたのでした。

手まりの材料の持ち主だった女性の祖母は、本渡から熊本市内に移住した人だったことが分かりました。故郷を離れながらも、天草の風景を思い出しながら、糸を刺していたのでしょうか。

巡り巡って、手まりがつないだ縁の深さを感じずにはいられません。

みなさんは受け取った材料で手まりを制作し、千葉の女性の元に送り「ご仏前に供えてください」とメッセージを添えたそうです。

右から佐々木富美代さん(69)、倉田良子さん(62)、猪原千津子さん、泉恵美子さん、横島ミネカさん(81)、松本サワミさん(69)、中村カナエさん(83)