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(1)タコ街道に 並ぶ「干しダコ」 ユーモラスに潮風に揺れて

江口さんの干しダコ

(1)タコ街道に 並ぶ「干しダコ」 ユーモラスに潮風に揺れて

2017年6月17日
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青空の下でゆれる干しダコ。有明町の海岸沿いでよく見られる風景です(資料写真)

夏の海を見たくて、向かったのは天草市有明町。海岸線を走る国道324号から見えるのは、青い海。太陽の光を反射してキラキラと輝く波が、白砂の海岸に寄せては引き、引いては寄せます。

上天草市松島町から天草市本渡を結ぶこの道は、有明町の区間だけ「天草ありあけタコ街道」という別名があります。その名前の通り、国道を走っていると目に留まるのが干しダコの風景。8本の足をピンと広げたユーモラスな姿は、タコというよりも何だか宇宙人のように見えます。

有明町では、毎年6月1日からタコ漁が解禁され、梅雨明け後から干しダコ作りは最盛期を迎えます。カラッとした空気と強い日差しにさらされて、丸いタコが乾燥して平らになっていきます。

出来上がった干しダコは調理の際、湯や水で戻し、郷土料理の食材として活躍します。風味豊かなダシを生かし、タコめしやきんぴらごぼう、タコみそなどの料理に使われます。

干しダコ作り名人の江口捷喜(かつき)さん(78)を訪ねました。

「白く粉を吹いて、あめ色のツヤがあるものがよかったい。干しダコを上手に作るコツ?釣って1時間以内に、生きたままタコを処理するこったいね」と江口さん。

強い日差しで乾燥させた江口さんの干しダコ。白く粉を吹いているのは、うま味成分です

会社員を定年後の65歳から干しダコ作りを始めたという江口さんですが、その熱心さとこだわりから、今では名人と呼ばれるまでに。

水産高校出身ということから、船の操作も、釣りもお手の物で、タコ釣りから干す作業まで一人で行っています。

干しダコのボディーを支える竹製の“たこん輪”と“つっぱり棒”。どんなサイズにも対応できるように、大きさもさまざま。冬の間に真竹で手作りするそうです

干しダコのシーズンは天気が気になって、方々に出かけたくても足が止まってしまうそうです。最近は水揚げ量も減り、干しダコを作る人も少なくなっているのが気がかりといいます。

「手間がかかる作業ばってん、有明町では盆と正月の料理には干しダコは欠かせんけんね」と言う江口さんのえびす顔は、タコ(=多幸)がとりもつ、幸せな笑顔です。

江口さんのイチオシの干しダコ料理は「たこみそ」。「これがあれば、ご飯も生野菜もおいしくいただけます」