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(3)天草ならではの海の幸 厚い人情感じる味わい

「大将の荒煮」1500円

(3)天草ならではの海の幸 厚い人情感じる味わい

2017年5月20日
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テラスでは、色とりどりのヒオウギ貝をその場で焼いて食べることができます(1枚200円)=「きんつ市場」

クルージングを終え、漁協﨑津支所前に戻ってきました。目の前の直売所「きんつ市場」をのぞくと、おいしそうな海産物が並んでいます。

販売されているのは、﨑津や天草近海で水揚げされた魚介類、練り物や干物などの加工品です。ちなみに「きんつ」とは、﨑津あたりでよく捕れる「ホウボウ」という魚のことです。

「試食していかんですか?」と声を掛けてくれたのは浦壁(うらかべ)房子さん(67)です。漁協の女性部が作る総菜も人気で、イチオシは地魚の酢漬け。底引き網で水揚げされた魚を使った酢漬けは、甘酸っぱくて、身も軟らかです。

イチオシの「地魚の酢漬け」。パックにぎゅうぎゅう詰めになって250円と、手頃な値段も魅力です=「きんつ市場」

「今日はガッツ(かながしら)ば使ってます。イトヨリやモチウオも使うとよ」と、日によって捕れる魚が変わるので中身も変わるそうです。ほかに、すり身、ちらし寿司など、素朴な味が日替わりで登場します。

生のサバをいぶした「油さば」は、そのまま食べても、汁物のだしにしても。河浦や牛深独特の食文化だそうです=「きんつ市場」

「魚料理は何でも得意よ!」と漁協女性部会長の出崎ちづるさん(67・右)と浦壁房子さん(左)=「きんつ市場」

「女性が主役の店だから写真はいいですよ」と照れながら写ってくれた店長の吉田文彦さん(62)=「きんつ市場」

天草漁協﨑津直売所 きんつ市場

 

一貫ごとに素材の持ち味を生かした細かい工夫

﨑津に来たならば、ぜひ寄りたいのが「寿司屋のたけちゃん」。正しくは、宮下剛さん(40)が営む、寿司屋「海月(くらげ)」です。

久しぶりに訪ねてみると、なんと、今年3月に、近くに新築、移転していました。

「海月」の店主・宮下剛さんと妻の美貴さん(40)の同級生夫婦。「海月」のちょうちんをバックににっこり

「教会に合わせてステンドグラスを取り入れたかったんです」と宮下さん。新店の扉はステンドグラス風に=「海月」

港に面した新店では、カウンターで、海を見ながら寿司をいただくことができます。

「午前中に仕込みをしていると、海面がキラキラときれいなんですよ。だけん、仕事ば休みたくなって困ります(笑)」と、店主・たけちゃんのほのぼのキャラは相変わらずです。

カウンターに座れば、宮下さんの仕事ぶりと海の風景も満喫できます。要予約です=「海月」

自慢の寿司のネタは、旬の地魚。真鯛、シマアジ、ヤズ(ハマチ)、サワラなど。いずれも新鮮さゆえの甘味と歯応えです。

一貫ごとに素材の持ち味を生かした細かい工夫が施され、甘いしょうゆ、ポン酢などおすすめの食べ方で提供してくれます。

地魚にぎりと小鉢、みそ汁、甘味が付く「ランチ」は2160円、3240円、4320円の3コース。魚のだしが利いたみそ汁も好評です=「海月」

3月上旬から解禁になるムラサキウニのにぎり。夏はアカウニ、秋冬にはガンガゼウニと、一年を通して生ウニがいただけます=「海月」

「たけちゃん」と初めて会ったのは4年前で、通りの一角でいなり寿司を販売していました。その次に会ったときはお嫁さんをもらい、そして今回は、一国一城の主として立派な店を構えていました。さて、次回はどんな進化を見せてくれるのか、楽しみは尽きません。

海月

 

笑い出してしまうほどのボリューム!

たけちゃんの幼なじみ、下田貴久さん(39)が営む「山口屋旅館」で、お昼ごはんを出していると聞いて、﨑津から河浦町の中心部へ。

「世界遺産になれば観光客も増えるでしょ。ここらへんでご飯が食べられるお店も少ないからね」と、去年の11月にランチをスタートしたそうです。

大正13年の創業の建物で営む「山口屋旅館」。昔ながらの宿の雰囲気を生かしながら客室もリニューアル中です

一番人気は「大将の気まぐれ定食」ですが、下田さんのおすすめは「大将の荒煮」。妻の純里さん(34)が運んでくれた荒煮は、まるでお盆のような大きな器に盛られ、笑い出してしまうほどのボリューム!

思わず「何人前ですか?」と聞いてしまいました。

完食する人は少ないという山口屋旅館の「大将の荒煮」1500円。2人で行くなら、お昼もいただける「朝ごはん定食」500円と一緒にオーダーしてシェアするのも

焼き魚の定食各900円は「カンパチ」と「カマス」の2種類。脂がのっておいしいです!=「山口屋旅館」

「母と妻とが作る小鉢が、ジワジワと人気が出てきています。観光客はもちろんですが、地元の人にも食べてほしいんです」と下田さん。

取材中も次々とお客さんが訪れ、大将の母の千代子さんも純里さんも大忙し。店主の思いはじゅうぶん伝わっているようでした。

「おいしい魚をいっぱい食べてください」。左から大将の母の下田千代子さん(63)、妻の純里さん、大将の貴久さん=「山口屋旅館」

山口屋旅館