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(1)世界遺産めざす「﨑津」 決定するのは来年の夏

丸山淳さん(60・左)と玉木譲さん(68)

(1)世界遺産めざす「﨑津」 決定するのは来年の夏

2017年5月20日
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地元の方から寄せられた昭和初期の﨑津の風景=「みなと屋」

天草下島の山間を抜ける国道266号を南下して、天草市河浦町へ。海沿いへ出てしばらく走ると、羊角湾(ようかくわん)が見えてきます。リアス式海岸が複雑に入り組んだ湾内は湖のように静か。さわやかな初夏の風が潮の香りを運んできます。

まるで港に浮かんでいるかのように見える「﨑津教会」。昭和9(1934)年、ハルブ神父により建てられた、河浦町のシンボル的な存在です。

﨑津集落は、2018年夏に世界文化遺産への登録決定が見込まれる「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の一つに選ばれており、今その話題で盛り上がっています。

禁教令が敷かれた江戸時代にこの地域に潜伏したキリシタンの歴史や昭和期に﨑津教会を中心に育まれた漁村の景観が高く評価され、長崎県の五島や平戸などとともに構成資産になったのです。

世界遺産の候補になった﨑津集落の歴史や文化を知ってもらおうと昨年8月にオープンしたのが、﨑津教会前の「﨑津資料館 みなと屋」です。

元旅館を改修した「﨑津資料館 みなと屋」の外観

同館の丸山淳さん(60)は、「世界遺産に登録が予定されるのは、禁教期にもキリスト教の信仰を継続したことと、漁村の集落景観です。﨑津教会も含め、昔ながらの風情が残る町並みをゆっくり散策してほしいですね」といいます。

﨑津の景観の素晴らしさは、平成23年に全国の漁村で初めて「国の重要文化的景観」に選定されていることからも分かります。

資料館の見どころは、﨑津教会が建てられた昭和初期の頃のジオラマです。入り江に面した集落に漁師の家、民家、金比羅山の麓に立つ﨑津諏訪神社などが再現され、表向きは仏教徒や神社の氏子となりながらも、明治時代までひそかに信仰を継承してきたことがうかがえます。

ジオラマでは﨑津教会建築当時の﨑津集落を再現=「みなと屋」

昭和11年築の元旅館を改修した建物は、天井が低く、2階の展示室は畳敷き。建具や床の間は建築当時のものが生かされています。

旅館の面影を残す畳の展示室=「みなと屋」

「2階の窓からは教会が見えるんですよ」と丸山さん。「みなと屋」に宿泊したかつての旅人と同じ景色が眺められるのも、地域の人々に大切に守り抜かれてきたおかげなのだと思えます。

旅人も見ていたかもしれない﨑津教会の尖塔=「みなと屋」

「みなと屋」で展示物の説明をしてくれた丸山淳さん(60・左)と玉木譲さん(68)

5月1日、「みなと屋」の隣の旧松田豆腐店の跡に、ギャラリー「つどい処まつだ」がオープンしました

﨑津資料館 みなと屋