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(2)林業は森の命をいただくこと 厳かさを感じる伐採の瞬間

切り倒した木を髙村さんが器用に持ち上げ、カットしていきます

(2)林業は森の命をいただくこと 厳かさを感じる伐採の瞬間

2017年3月18日
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小国杉の原木市場である「小国町森林組合若宮共販所」。伐採された小国杉はここに集まり、全国に送り出されます

林業に携わる人たちのことを、この地では、“切山(きりやま)さん”や“一人親方(ひとりおやかた)”と呼んでいます。

奥山の杉林で作業していたのは、宮阪辰美さん(42)と髙村征和(ゆきかず)さん(29)。2人は次世代を担う“切山さん”です。伐採するときは、木の根元にお神酒をささげて塩をまき、深く手を合わせるそうです。この日、樹齢50年ほどの杉を伐採する瞬間に出合いました。

「倒させていただく時は、木に向かって『どうぞ隣の若い木に魂を移して下さい』と祈りを捧げます」と語る宮阪さんは、山形県西置賜郡(にしおきたまぐん)小国町から、林業をするために熊本県の小国町に移住してきました。それにしても、同じ町名だったことにも深いご縁を感じます。

小国の“切山さん”たち。左から小国町森林組合の穴井喜一郎さん(53)、髙村征和さん、宮阪辰美さん

私が生まれた頃に植えられた樹齢50年の杉の木。命について考えてしまいます

オレンジ色のヘルメットとスパイク付きの地下足袋姿で、ぐっと腰を落とし、神妙な面持ちで宮阪さんが木に向かいました。

静かな森に、“ウィーン”というチェーンソーの甲高い音が吸い込まれていきます。カーンカーンと小づちで幹の切り口をたたけば、めきめきと音を立ててスローモーションのように木が傾き、ずしーんと地鳴りのような音と振動が響きます。

今度は髙村さんが、倒れた樹木をハーベスタ(林業に用いる重機)で持ち上げ、4mの長さに切っていきます。

切り倒された木は建築資材となって、第二の人生を送るわけですが、私たちの暮らしは、こうした森の命をいただいていることを改めて感じさせられました。

チェーンソーで杉を切る宮阪辰美さん

切り倒した木を髙村さんが器用に持ち上げ、カットしていきます