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(2)若者たちが手を取り合って 相良茶の魅力を発信

テキパキお茶を入れてくれるヒサ子さん

(2)若者たちが手を取り合って 相良茶の魅力を発信

2017年2月18日
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土間に置かれた巨大な薪ストーブの上では、大きなシイタケを乾燥中。ボウルを蓋にして焼き芋などもするそうです

四浦地区のかまぼこ形の茶の畝が続く斜面を眺めつつ、さらに車を走らせると小さな集落がありました。杉木立の中に目をやると、あちこちに手入れの行き届いた小さなお堂や丸太をくりぬいた蜜蜂の巣箱、シイタケのホダ木が並び、山の恵みを大切にする人々の暮らしぶりがうかがえます。

「信國製茶」の3代目・信國晋太郎さん(32)と「山村製茶」の山村孝一さん(22)は、お茶の新たな楽しみ方を提案する若手のホープたちです。

左から信國晋太郎さんとヒサ子さん、山村孝一さん

「寒かったでしょ。まずは火に当たってお茶でも飲まんですか」

晋太郎さんの祖母・ヒサ子さん(82)が自家製の和紅茶を入れてくれました。大きな薪ストーブに手をかざし、紅茶を一口飲んだ瞬間、安堵の吐息がこぼれます。日本の気候風土が育む茶葉を、日本人の嗜好に合わせて発酵させた紅茶は“和紅茶”として近年、全国で話題を集めています。

ヒサ子さんが入れてくれた和紅茶。まろやかな紅茶の風味が広がるとともに、雨に濡れた体が芯からポカポカと温まっていくのを感じます

整然とした台所でテキパキお茶を入れてくれるヒサ子さんの背中を見ていると、こちらまで背筋が伸びます

「工夫次第でいろんな味わいのお茶ができるのが、とにかく面白い」と晋太郎さんは誇らしげです。昨年は南稜高校の“就農塾”とのコラボで、和紅茶アイスも生まれました。

信國製茶の和紅茶を使い、南稜高校生が手がけたアイスクリーム

「相良村の紅茶と南稜高校の米や牛乳を使った、ここでしかできないアイスを作ることができてうれしい」左から大瀨未来さん、板崎友李さん、沼田彩花さん、中武夏季さん(いずれも南稜高校1年)

山村孝一さんは昨年、同じく相良村の「川上製茶」の川上さんとタッグを組んで、2つの茶園の茶葉のブレンド茶を開発し、「くまもとの宝物コラボグランプリ審査会」でグランプリを受賞しました。

「一煎目は水出しでまろやかな飲み口と甘みを、二煎目はお湯で入れて香りとうま味を楽しめるお茶です」と山村さんも胸を張ります。

山村製茶と川上製茶のコラボで生まれたブレンド茶は、5月初旬頃販売開始予定

二人をそっと見守るヒサ子さんに「頼もしいですね」と声をかけると、

「なーん。まーだまだ」と若者への期待はもっともっと大きいようです。

2男1女の子育てをしながら、夫の農林業を手伝っていたというヒサ子さん。この家に嫁いできた1956(昭和31)年頃はまだ車道も電気も通っておらず、水車の動力で工場を動かし、収穫期には左右の籠に30キロずつ茶葉を入れ、天秤棒を担いで山道を上り下りしていたそうです。

茶農家としての仕事の傍らで、自家菜園などヒサ子さんが行っていた季節の仕事も少しずつ受け継ぎ始めた晋太郎さん。代々受け継がれていく集落の営みの一端を垣間見た気がします。

晋太郎さん自慢の茶畑。あと2カ月もすれば、淡い緑の若芽で彩られます

信國製茶の和紅茶(左から生姜紅茶650円、ゆず紅茶650円、和紅茶540円)。「さがら温泉茶湯里」や「かすみさくら」で販売されているほか、直販も可能です

 

 

さがら温泉茶湯里